コロナ禍の影響で収入が減ったり、在宅や時短勤務による“スキマ時間”が増えたりしたことなどから、副業を始める人が急増している。副業マッチングサービス最大手のランサーズによると、同サービスを利用する115万人の登録者の約3割、約35万人もの人が2020年2月以降に副業を本格的に開始しているという。同社取締役の曽根秀晶氏はこう分析する
「副業を始めた理由については、『収入減少のため』が14.5%で最も多く、2番目が『スキルアップのため』で9.2%。ここ数年はスキルアップのために副業を始める人が増えていましたが、コロナ禍では将来不安からか、お金を稼がなければならないという必要に迫られて始める人も多いようです」(曽根氏)
どんな副業に人気が集まっているのだろうか。同社によると、「エンジニア」「デザイナー」「ライティング」が上位3位で、全体のシェア6割程度を占めているという。報酬は各職種とも細分化されているが、例えば、「Webシステム開発・プログラミング」で時給3500~7000円、「ロゴ作成」は1点2万~8万5000円、「インタビュー・取材」による執筆は1文字2~5円などが相場となっている。
ただし、伸び率だけを見ると、「映像クリエイター」が前年比499%(2019年4月と2020年同月の比較)と圧倒的で、報酬相場も5万~50万円ほどと高額となっている。YouTuberとしての新たな副業が軌道に乗り、最新刊『儲かる副業図鑑 在宅勤務のスキマに始める80のシゴト』が話題の公認会計士の山田真哉氏はこう言う。
「コロナ禍で急に増えた『おうち時間』を、とりあえず動画を見て過ごすという人はやはり多い。企業も商品の販路を店頭からEC(電子商取引)へと続々と路線変更しており、動画を使ったマーケティング的な訴求に力を入れ始めています。YouTuberも増えていますが、彼らにとっても企業にとっても一番大変かつ、結果に大きく影響するが撮影した動画の編集。でも最近は専門知識がなくても簡単にできるアプリがたくさん登場しており、動画制作の“分業”が進んでいます」(山田氏)
ランサーズの「映像クリエイター」の仕事の中にも「YouTube用動画編集」が含まれており、案件は多い。今後ますます仕事量も報酬も伸びることが予想されている。「副業市場」を通じた仕事の依頼件数は全体的に右肩上がりで増え続けているそうだが、一方で今後はあまり伸びが期待できない、つまり儲かりにくくなる仕事はあるのだろうか。