副業マッチングサービスなどを手掛けるランサーズの調査によると、「副業人口」(常時雇用されながら副業する人)は年々増加傾向にあり、2020年4月の調査では409万人と推計されるという。コロナ禍により、さらに急増している様子がうかがえるほか、同調査で「副業をしてみたい」と回答した人が全体の7割にのぼっており、まだまだ“人口増加”は続きそうだ。
また、コロナ禍以前の2019年から始まった国主導の「残業規制」も徐々に労使ともに浸透してきており、本業における「収入減」と「労働時間の短縮」は、多くの労働者にとって避けられそうもない。日本の労働スタイルが「残業ありき」から「副業ありき」へ、さらには複数の業を持つ人が当たり前になる「複業の時代」へと変わっていくことを予想する声も少なくない。
コロナ禍によって、働き方が大きな変革期を迎えつつある中、副業における「課題」も少しずつ浮き彫りになっているという。ランサーズ取締役で、新しい働き方研究所所長も務める曽根秀晶氏が解説する。
「端的に言えば、優秀なビジネスパーソンが副業を始めると、たいてい1回は失敗します。優秀であればあるほど、自分自身のスキルを外で試したくなるのは当然で、複数の案件、より大きな案件へと仕事を広げていきます。しかし、複数の上司を同時に持つようなものなので、いろいろなことが“混線”し、やがてセルフコントロールが効かなくなる。自分がどこまで同時に仕事を請け負えるかの限界は、一度失敗して学ぶしかありません」(曽根氏)
こうした「副業のワナ」に陥ったまま仕事を続けていると、やがて「副業うつ」になってしまう人も少なくないそうだが、副業で失敗しないためのコツはあるのだろうか。副業で始めたYouTubeのチャンネル登録者数が急増し、短期間で「公認会計士YouTuber」第1位に登り詰めた山田真哉氏が、自身の経験も踏まえながら、こうアドバイスする。
「副業をする人にとっての最大の課題はタイムマネジメント。やろうと思えば寝る時間を削っていくらでもやれるわけですが、肉体的にも精神的にも疲弊し、いずれ本業もろとも崩壊してしまいます。メールやSNSの反応も同じですが、朝から晩まで即レスしている人はやっぱり体を壊しがち。複数の仕事をこなし、複数の人と関わる時こそ、時間制限を設けることが大切です」(山田氏)