そこで名義変更が必要になるが、この場合にも遺言書がないと手続きが面倒になる。
「不動産の登記名義の変更は法務局で行ないます。その前に、誰が相続するかを決めなければなりません。相続人全員の合意を受けて『遺産相続分割協議書』を作成し、預金口座の場合と同じように故人の戸籍謄本などの書類と相続人の関係を証明する書類、さらに『登記申請書』が必要になります」(前出・曽根氏)
他に、車の名義も変更しないと廃車や売却ができない。名義変更は陸運局で不動産などと同様の書類に加え、車検証を提出する。遺言書で相続する人が指定されていれば、やはり遺産分割協議書などが不要になる。
それに加えて手続きの煩わしさを軽減できるのが「法定相続情報一覧図」だ。法務局で写しの交付を受けておけば、それを使うことでひとつひとつの手続きに際して、相続人たちの戸籍謄本を用意する必要がなくなる。
「手間を省くために必要な書類をきちんと準備しておけるかで、名義変更の負担は大きく変わるのです」(前出・曽根氏)
※週刊ポスト2021年1月1日号増刊『週刊ポストGOLD もめない相続』より