Bさんは思わず「すみません。気をつけます」と謝ってしまったが、ルール違反をしているのは男性側のはずだ。
「本来のエスカレーターの利用法からすれば正しい乗り方をしているのに、怒られてしまう。歩いてはいけないのに歩く人の方が優先されて、さも正しいような主張をされることが釈然としません。歩きたい人は階段に行ってほしい」(Bさん)
30代の男性・Cさん(千葉県在住)は、混んでいるときも混んでいないときも、片側に寄せて律義に並んでいる光景に違和感を覚えている。
「左側はエスカレーターの手前まで片側に大行列なのに、右側はがら空きなんてことも多い。全員が2人横並びで立てば、もっと効率よくたくさんの人が早く上に上がれるのに……、っていつも思います。人だけでなくスーツケースも横に置いてはダメな風潮ですよね。後ろから来た人にスーツケースを蹴られたことがありました」
また、現在80代の母と同居する50代の男性・Dさん(東京都/メーカー勤務)は、「脚が悪い人の事情もわかってほしい」と訴える。
「母は右脚が悪いため、エスカレーターでは、右側の手すりを使いたいんです。でも、右側に乗ると罪悪感のようなものがあるらしく、いつも無理をして左に乗っています。私が一緒の時は、並んで乗るようにしていますが、後ろから歩いてくる人が母のところでピタッと止まると、やはり“圧”がある。歩く方が悪い、という空気感ができないものでしょうか」(Dさん)
鉄道会社も「歩かずに立ち止まろう」と呼びかけているが、なかなか浸透しないエスカレーターの「正しい」乗り方。「片側空け」の習慣はいつになったら改善されるのだろうか。