2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響による景気不安から、政策金利を引き下げ、金融緩和策に踏み切る国が目立った。そうした中、トルコのように利上げに踏み切った国もある。11月には政策金利を15%まで引き上げたが、この利上げはトルコリラトレードにどう影響するだろうか。FX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが政策金利と通貨価格の関係について解説する。
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一般的に政策金利の引き上げは、好景気のときに実施されやすく、過熱した景気や物価上昇の抑制を期待して行われます。政策金利を引き上げると、民間の銀行における融資やローンなどの金利上昇に繋がるため、次第に企業や個人は資金を借りにくくなり、経済活動の抑制に向かいます。
一方で政策金利の引き上げを「通貨安に歯止めをかけるため」に実践する国もあります。最近ではトルコがこのケースであり、トルコの政策金利は2020年の8月には8.25%だったのが、9月に10.25%、11月には15%まで引き上げられました。
トルコリラ/円レートの推移を見ると、2016年に1トルコリラ=40円を割って以降、右肩下がりに下落の一途を辿り、2020年では一時1トルコリラ=12円程度にまで落ち込みました。トルコ経済の今の状況を見ると、近年好調であった観光業が世界的な新型コロナウイルス感染拡大により大きな打撃を受け、欧州への輸出も芳しくない状況が続き、決して景気が良いとはいえません。
またトルコのエルドアン大統領の金融政策へのスタンスは、これまで政策金利を引き下げる方向でしたが、それを引き上げへと転換したということは、トルコリラ安は予想以上にトルコ経済へダメージを与えていると捉えることができます。
ただしトルコが政策金利を引き上げたところで、以前のようにトルコリラ/円を1万通貨買い保有すれば、スワップポイント(金利差損益)が1日100円以上もらえたという時代は遠く感じます。また11月の利上げ以降、1トルコリラ=13円台にまで回復しましたが、今後下落しないとは限りません。
スワップポイントを狙うFXトレードは、高金利通貨を買い保有するだけで、利益が日々コツコツ積みあがる点は魅力的ですが、取引を検討する場合、政策金利や通貨価格の変動にも注意を払う必要があるでしょう。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)