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コロナ禍初期の買い占め騒動 多くの国民が不安症に近い状態だった

春先は街の至る所に行列が(時事通信フォト)

春先は街の至る所に行列が(時事通信フォト)

 日本が新型コロナウイルスの脅威にさらされるようになってから、およそ10か月。感染は“第3波”に突入し、11月下旬以降、全国の1日の新規感染者数も過去最高を更新しながら推移し、油断ならない日々が続く。

 2020年はコロナ禍により、まさに激動の一年だった。「外出自粛」「オンライン授業」「テレワーク」……ウィズコロナによってめまぐるしく変化する暮らしの中で、家族の姿も大きく変わった。ここでは4月に緊急事態宣言が全国に発出される前、コロナ禍初期の様子を振り返ってみよう。

「トイレットペーパーの多くは中国で製造しているため、今後品不足になる」というデマがSNSで広まり、あっという間に店舗からトイレットペーパーが消えたのは、まだ国内の1日の感染者数が20人程度だった2月末のこと。テレビの街頭インタビューに「すでに家にたくさん確保したが、今日も並んで買った」と誇らしげに語る人が登場し、議論を呼んだこともある。

「在庫は充分にある」「トイレットペーパーはほとんどが国内でつくられている」と、デマが正されたにもかかわらず、品薄状態は春先まで続いた。東京女子大学教授の橋元良明さんは、「多くの人は、デマだと知っていてもなお、買い占めていたでしょう」と解説する。

「買い占めに走った人たちにとっては、本当にトイレットペーパーが品薄になるかどうかは、大きな問題ではなかったのです。それよりも、“みんなが並んで手に入れているのに、自分だけ取り残されたくない”という『バンドワゴン効果』や、入手困難なものが欲しくなる『希少性原理』、購入個数などの制限によって欲求が強くなる『心理的リアクタンス』が働きました。これは、『不安症』という病気に近い心理状態です」

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