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コロナ禍で夫婦関係に変化 高価な電気圧力鍋が売れるワケ

コロナで家族関係はどう変化した?(イメージ。Getty Images)

コロナで家族関係はどう変化した?(イメージ。Getty Images)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、私たちの生活は大きく変化した。テレワークによる在宅勤務が普及したことで、家事を手伝わない夫に今まで以上に不満を抱くようになったという女性も少なくないようだ。しかしその一方で、夫婦の絆が深まった人たちが多いのも事実だ。厚労省によれば、1~8月の離婚件数は、2019年が14万5527組だったのに対し、2020年は13万1596組。約1万4000組も減少している。

 明治安田生命が11月16日に公表したアンケート結果でも、「夫婦仲がよくなった」と回答した人は「仲が悪くなった」と回答した人の約3倍もいた。特に50~70代は84.1%もの人が「夫婦仲がよくなった」と回答している。「幸福学」を研究する慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司さんが分析する。

「在宅時間が長くなったことにより接点が増え、もともと関係のいい夫婦や家族はさらに仲がよくなり、険悪だったところはさらに悪化、と関係が二極化したと考えられます」

 ステイホームがスタンダードになり、家族で共に食事をとる時間が飛躍的に増えた。外食できない分、食材にお金をかけ、手間をかけて料理を楽しむ家庭が多くなっているのだ。家事研究家の佐光紀子さんが語る。

「ホームベーカリーが売れており、パンづくりにはまっている男性も多いようです。家でお酒を飲む機会も増え、ホットプレートで鉄板焼きをしたり、土日は気合を入れて料理を作って家族サービスしたりするお父さんが増えています」

 2020年の流行語大賞に入賞した「ソロキャンプ」に使う、1人用のグリルやバーナー、調理器具なども売れ行きを伸ばしている。感染を避けてひとりでキャンプを楽しみたいという需要はもちろん、家の中や自宅のベランダでキャンプ気分を味わう「ベランピング」需要によるものだ。トレンド評論家の牛窪恵さんは、最新式の電気圧力鍋が飛ぶように売れていると話す。

「目立って売れた家電は『ヘルシオ ホットクック』。4月時点で、販売台数が前年対比3倍以上でした。切った材料と調味料などを入れれば、スイッチを押すだけでAIの調理鍋が全自動で調理してくれます。5万円ほどする高価な家電ですが、売れた理由の1つは、在宅勤務になった夫が一日中家事に追われる妻の姿を目の当たりにし、初めて料理の大変さを知ったからでしょう。“妻がこんなに大変なら、料理をラクにする家電にお金を出してもいい”と、購入に踏み切ったのではないでしょうか。

 同様の理由で、カットされ味つけされた材料が入っていて、焼いたり炒めたりするだけで料理が完成する『ミールキット』も人気。これまでは、“お母さんが手間暇かけること”がよしとされていた家庭の食卓が、“家族みんなで手軽に楽しむ”レジャー的要素も持つようになってきました」

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