住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「代々木八幡(代々木公園)」(東京都渋谷区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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東京23区内で非常に多いのが、寺や神社の名前が付いた駅。高円寺、豪徳寺、祐天寺、泉岳寺、護国寺、九品仏、新井薬師前、松陰神社前、明治神宮前などがありますが、代々木八幡もその1つで、駅のそばにある代々木八幡宮が駅名の由来です。すぐ近くに明治神宮という有名なスポットがあるからか、代々木八幡宮は地元民に静かに愛されてきた癒しスポットでしたが、近年“パワースポット”として注目度が急上昇。運気については、「信じるかどうかはあなた次第」といったところですが、住みやすい街なのは間違いありません。
まず鉄道ですが、冒頭で「代々木八幡(代々木公園)」と記したのは、両駅が隣接しているから。小田急線(代々木八幡)と東京メトロ千代田線(代々木公園)の2線2駅が利用可能です。小田急線で新宿まで5分、千代田線で表参道、赤坂、日比谷、大手町まで1本と、交通の便は抜群。渋谷に行くにはバスがあり、歩いても20分程度です。
道路状況も良好です。駅の目の前に山手通りと井の頭通り、山手通りの地下には首都高速が通っており、参宮橋方面に向かえば首都高速の代々木入り口もあります。かつては井ノ頭通り、山手通りの富ヶ谷~大橋、原宿駅前~明治神宮前交差点~表参道交差点など、近隣は渋滞スポットだらけでしたが、長きにわたる拡幅工事を経ていくらかマシになりました。
渋谷からフラッと歩いて帰れる気軽さは超魅力的
長らく“ただの住宅街”だった代々木八幡ですが、注目を浴びるようになったのは、渋谷駅から10分以上離れた渋谷区神山町や富ヶ谷あたりにオシャレな店が次々とオープンし、「奥渋谷」(オクシブ)と呼ばれるようになってからです。