中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

下請け相手だとエラソーに… 私が見た“失格サラリーマン”列伝

 私のようなコネなし、中流階級の人間からすれば、駐車場代に4800円なんて払えないと普通に思うのですが、おぼっちゃんはまったく感覚が違った。

 そんなサラリーマンの範疇を超えた言動が注目を集める彼でしたが、「5月の段階で有給休暇を使い切った」とか「クライアントとの打ち合わせで寝ていた」とか本当か嘘か分からないような噂が登場します。だからこそ彼と2人で飲む時は「お前、こんな話を聞いたけど本当か?」と聞き、「まぁ、大体当たっているな!」なんて言われる始末。こちらは擁護したいのに自分で認めるなよ~!

 そんな豪快な彼は、数年後に会社を去ることになります。サラリーマン失格というより、そもそもサラリーマンに向いていなかったのかもしれません。今でも彼については「アイツは使えないヤツだったな」や「アイツはバカだったな」といった評価ばかりで、私としては「アイツは飲むと楽しいヤツだぞ!」という反論をするしかないのでした。

【2】「お前なんていつでも干せるぞ!」男

 私がフリーライターとして独立した後に仕事をした某大手広告会社の社員の話。見た感じ50代のようでしたが、やたらと名刺に書かれた肩書にカタカナが多い。広告業界と付き合いが長いと「長いカタカナの役職の40代後半~50代は出世していない」ということが分かるようになります。

 この方もまさにそうだったのですが、まず、上司が彼よりも年下。しかし現場で指示を出すのは彼です。毎度エラソーにクライアントの編集タイアップ原稿を直させるのですが、すべての指示が電話なのです! 証拠を残すためにもメールが普通になっていた時代なのになんで? 恐らくパソコンが嫌いだったのでしょう。

 だからこそ、「言った言わない」の争いが多発。こちらが「いい加減にしてください!」と伝えると、「お前みたいな零細企業なんていつでも干せるぞ!」と会社の権威をかさに恫喝してきました。今思えば、「下請けにエラソーにすることだけが自身の心の拠り所」といった感じの人物でした。

 その後、彼のそうした言動を耳にした若き上司から、謝罪されるという顛末でした。

【3】「後は任せますので、勝手にやってください…」女

 とあるウェブコンテンツのキックオフミーティングを某広告会社の会議室で行うことになりました。開始時刻は10時で、現場を担当する若手社員2人とその上司である彼女・A氏の到着を待っていました。

 しかし、10分経っても来ない。若手社員の1人はフリーランスの私を待たせていることを申し訳なく思ったのか、彼女に電話するも出てくれない。「どうしましょうかねぇ……」「一応概略だけでもお伝えしますかね……。いや、Aが説明した方がいいのですが……」みたいな感じで、無為な時間が35分ほど過ぎます。

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