中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

下請け相手だとエラソーに… 私が見た“失格サラリーマン”列伝

 そこで再び若手が電話したところA氏は出てくれました。会議には来てくれるそうで、10時40分にやってきました。

「なんで私に電話してきたの?」
「Aさんが今回の会議は思い入れがあると言ったから、お待ちした方がいいと思いまして……」
「あのさ、このぐらいの規模の仕事、私がやるまでもないの。あなた(私のこと。名刺交換さえなし)、後は任せますので勝手にやってください。それじゃあ、私はここで」

 嘘のような話なのですが、こんな展開になったのです! 私はここまで投げっぱなしな人は見たことがないのでポカーンとしていたのですが、同社の若手2人は「いつもこんな感じなんです……」と恐縮しきり。

 じゃあ、なんで彼女は管理職でいられるの? と思うも、2人はゴニョゴニョと口を濁し、何も言わないのでした。

 さすがに今年はコロナでサラリーマンもキツいでしょうが、ある程度収入が守られているのにスーダラでも生きていける人生は、当人からすれば悪くないものなのでしょう。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、博報堂入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『恥ずかしい人たち』(新潮新書)。

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