多くの病院や介護施設では感染防止のために家族の面会を禁止・制限している。「親の看取り」ができず、葬儀さえ出せないケースも少なくない。
また、親が元気で孫たちの顔を見るのを楽しみにしていても、政府は、「年末年始の帰省を自粛、延期してほしい」と呼びかけている──。
コロナ禍で私たちは「家族の絆」の大切さを改めて思い知らされたはずだ。だからこそ、いま、親子で話し合い、兄弟姉妹で考え、夫婦で決めておきたい。「親の介護」が必要になった時のこと、相続や葬儀、お墓のこと。
病気で倒れた父親を自宅に引き取って介護し、看取った経験を持つ経済アナリスト・森永卓郎氏が語る。
「親父が元気なうちにもっと話をしておけばよかったと思うことはたくさんあります。親父は生前、生命保険があるといっていました。亡くなってから探したけど保険証書は見つからなかった。結局、保険は下りていません。
美術品や骨董品などのコレクションがあれば、ちゃんと価値も聞いておいたほうがいい。遺品整理業者は価値を知らないので、二束三文で引き取ってもらうことになる」
森永氏は父を自宅に引き取ったときのことをこう語る。
「親父は体は不自由でしたが、会話はできたので、“介護費用はどうする?”と聞いたら、“預金はあるけど、どの銀行にどんな口座があるかわからない”というんです。実家で郵便物を探したところ、銀行や証券会社など20近くの口座があることがわかった。それを調べるだけでも大変で、元気なうちに金融、保険、不動産などの資産情報を共有しておけばよかったとつくづく思いました」