鰻は高級品だが串なら多少安く食べられる
続いては、入浴剤「花王 バブ メディキュア 発汗リフレッシュ浴」です。「家サ活」がコンセプトで、「家でもサウナ体験ができるよ」という発汗作用があるとされる入浴剤です。これについては、2019年10月に花王から新発売のイベントに招待してもらった時、実際に銭湯で大勢の男性たちと一緒に使ってみたのですが、確かに汗は出ました。
直後に家でも6個入りの箱を使ってみたところ、「確かに汗は出るな」と銭湯イベントの時と同様に感心しました。その後、コロナ禍でサウナにもあまり行けなくなりました。そこで「そういえばアレ、発汗したよな」とアマゾンで大量に注文。以後、家にいることが多くなったため、風呂の時間を有意義にするためにもこの入浴剤を使うようになりました。するとやはり汗が出るわ出るわ。私が汗っかきだというのはあるものの、これを入れる時と入れない時ではダラダラ度合いが違うように感じられます(個人の感想です)。それ以来、この入浴剤は我が家の必需品となったのでした。
そして、最後は「鰻の肝」です。昨年春の外出自粛期間中も、適度な運動は奨励されていたので、私は週に1回、東京・渋谷区にあった自宅から新宿の百貨店まで歩いて「鰻の肝串」を買いに行っていました。ほとんど家から出ない生活が続く中、毎週決まった曜日にこの串を買いに行くことで曜日感覚を正常化させ、それでいて午後のビールのひと時を楽しみにするようになったのです。
その結果分かったのが、鰻という食材の余すことない美味さです。同店では「ひれ」「肝(内臓)」「レバー(肝臓)」「小串(身)」の4種類を売っていたのですが、これらを家人と2人で半分ずつ食べる時の幸せったら。
鰻は今や高級品ですが、串であれば多少は安く食べられる。このウマさにハマってしまい、毎週買うようになりました。そして、今は佐賀県唐津市に住んでいるのですが、鮮魚店では鰻の肝を煮たものをパックで売っています。これも今では重要なビールのつまみです。
「買ってよかったもの」として、ガジェット好きの人なら「アップルのナントカカントカ」とかを挙げるのかもしれませんが、私としては小市民的な幸せをもたらしてくれる商品が2020年は「買って良かったもの」だったんだな、と感じています。皆さまも良い買い物ができる2021年でありますように!
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、博報堂入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『恥ずかしい人たち』(新潮新書)。