新型コロナウイルスの感染拡大を受け、休業や廃業を余儀なくされる人は少なくない。仕事を続けられたとしても、給与減や勤務時間減など、待遇が悪化したケースもあるだろう。そんななか、スキマ時間などを活用する「副業」に注目が集まっている。とはいえ、「夫が副業を始めたことで余計に悩みが増えた」と語る30代主婦がいる。いったい何があったのか、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた
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「コロナで副業が話題になっていますが、私としては心配してしまいます……」。都内在住の専業主婦、巻田里穂さん(仮名・34歳)は、夫の会社の副業推進に不安を感じていることを話してくれた。夫(38歳)、もうすぐ1歳になる息子との3人暮らしである。
新型コロナウイルスの影響で、自粛生活やリモートワークなどが当たり前になってきた。自宅で過ごす時間が増えたこともあり、副業にチャレンジする人も多くなっているといわれている。
最近は本業と副業と分けるのではなく、どちらも本業というスタイルで取り組む「複業」という考え方も広がっている。今後はより一層、一つの会社に縛られるのではなく、一人一人が活躍できる働き方を選ぶ風潮が広がっていきそうだ。
「夫は自分の得意なことを副業にしたかったようです。それで始めたのがライティングの仕事でした」(巻田さん、以下同)
巻田さんの夫は文学部出身。一時期は物書きを目指していた時期もあったそうだ。しかし夢は諦め就職し、現在は大手外食チェーンの社員として働いている。新型コロナ禍による業績不振が続き、昨年のボーナスは大幅にカットされたとのことだった。その影響もあってか、夫の会社では副業が認められるようになったという。
巻田さんによると、夫はクラウドソーシング(不特定多数に業務を委託する仕組み・サービス)を利用して副業を見つけているとのこと。その仕事内容はすべて把握していないそうだが、あるテーマに基づき情報をまとめるネット記事や書籍レビューなどを中心に執筆していることを教えてくれた。
ただ、帰宅するとすぐにパソコンで執筆活動を始めてしまうため、夫婦の会話は激減。「俺は仕事があるから」と、育児に協力してくれなくなったと巻田さんは嘆いていた。