団塊世代は「逃げ切り世代」などと呼ばれることもある。戦後の高度経済成長時代のメインプレイヤーである彼らは、年金も自分が支払った保険料以上に受け取ることができる世代だ。一方、団塊ジュニア世代にあたる現在の40代後半~50代前半は「氷河期世代」などと呼ばれ、不遇の時代を過ごしてきた――。こうした考え方を持つ人は少なくないだろうが、現在20代の若い世代から見ると、団塊ジュニア世代も「逃げ切り世代」と見られることもあるようだ。1973年生まれ(203万人が生まれた年)のネットニュース編集者・中川淳一郎氏(47)が、20代の若者と話した時に感じた新たな気づきについてレポートする。
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この前、東京と九州で相次いで、20代の若者から「中川さん達の世代はいいですね。色々と逃げ切れるじゃないですか!」と言われました。これには「えっ? オレら、就職氷河期世代で非正規雇用が激増して、バブル期であればもっと優遇されたであろう人々が不遇をかこう世代ですよ?」と言いましたが、「いや、そこは理解していますが……」と返されます。
よくよく聞いてみると、若者が本気で我々を「完全な逃げ切り世代」だと思っているわけではないようで、「いい時代を過ごしましたね」というレベルのようです。ただ、彼らが我々を「逃げ切り世代」だと考える理由をいくつか挙げてもらうと、「確かにそうかも」と思わされる部分もありました。「いや、オレらの世代の競争の激しさって受験も就職もすごかったから全然恵まれていないし、我々が高齢者になった時の社会保障だってどうなるか分からないけど……」という感想を持ちつつ、です。以下、彼らが語った内容です。
・「AIに仕事を奪われる」といった状況にはなかったため、何らかの「手に職」はあるのでは?
・インターネットが「当たり前」になる前の時代を過ごしているからアナログ的考えも理解しているのでは?
・この20年程で格差はますます広がったが、あなた達が若かった頃はそこまで格差は広くなく「中流」的生活は経験している。しかし、我々は「上か下か」しかない時代にすでになっており、そこで勝負せざるを得ない。大多数は「下」でいざるを得ない。
・我々が40代を迎える頃の日本の高齢化率は相当高くなっていて、あなた達よりも社会保障の面では厳しい状況になっているはず。
・あなた達の時代は三木谷浩史氏(楽天)、堀江貴文氏(ライブドア)、藤田晋氏(サイバーエージェント)、笠原健治氏(mixi)、前澤友作氏(ZOZO)など、「IT時代の寵児」的なロールモデルがあったが、我々はあなた方の世代がすべて刈り取った後、そこの下働きをしているだけである。