人生100年といわれる時代にあっても、終わりはいつやってくるか誰にもわからない。そう考えると、50代からの終活だって決して早すぎないはず。毎日少しずつでもいいので、コツコツ続けていれば、もしものことがあっても残された人たちが困ることはないだろう。
終活の分野は多岐にわたる。すぐには決められないことや面倒な手続きも多い。時には専門家に相談するのも手だが、自分でできることはやっておきたいところ。その手順を解説する。
納骨先や財産問題はトラブルの原因になる
介護、医療、相続、葬儀、墓など、生前に決めておくべきことは山ほどある。
「優先してやるべきは納骨先や葬儀、財産にかかわること。なぜなら、トラブルの原因になりやすいからです」
こう語るのは、NPO法人 終活サポートセンター理事長の水上由輝徳さんだ。
「最近は直葬や自由葬など、宗教色を排除した葬儀を望む人が少なくありません。しかし、それがトラブルの一因になっています。例えば菩提寺があるご家庭で、菩提寺のご住職に葬儀を依頼することが必須であるという知識を喪主さまが知らなかったために、菩提寺とトラブルになるケースが増えています。また、菩提寺のご住職に相談なく、ほかの僧侶に葬儀をお願いしてしまって問題になることも。
こうなる原因の1つは、故人が生前、ご家族に檀家と菩提寺の関係をきちんと教えていなかったことにあります。葬儀のスタイルも多様な時代になりましたが、きちんと理解したうえで進めないと、再度葬儀を行うことになるなど、遺族が葬儀費用を余分に支払うことにもなりかねません」(水上さん・以下同)
終活の“不備”が、相続争いの原因になることもある。子供たちが不仲で話し合いの余地がないなど、問題が起こる火種がある場合は、ひとりでどうにかしようとせず、できるだけ早く終活コーディネーターなどの専門家に調整を依頼した方がいい。
「“うちには財産がないから相続対策なんてする必要はない”という人もいますが、そんなことはありません。骨肉の争いは、わずかな現金を分けなければならない家庭の方が起こりやすいんです」