では、家族や親族に迷惑をかけないためには、どのように終活を進めたらよいのだろうか。
「まずはエンディングノートを書くことからおすすめしています」
エンディングノートに書くことで問題が浮き彫りとなるため、トラブルを未然に防ぎやすいのだ。
「さらに65才を過ぎたら、物忘れ外来などで認知症の検査を受けましょう。その結果、認知症の兆候が見られても、治療の余地がある場合が増えています。いわゆる“おひとりさま”の場合は、自分で判断できなくなった場合に備えて、後見人をどの段階で選んでおくかを明確にしておくことも大切です」
こういった、葬儀や相続についての手続きは、必ず生前にやらないとならないが、専門家にお願いしてしまう手もある。それでも、全部完了するのに4~5年はかかることもあるという。
自分でできる分野は50代から
となると、終活開始は60代からでも間に合うようにも思えるのだが──。
「人間、いつ亡くなるかわかりません。特にコロナ禍のいまはその可能性が高まっています。葬儀や相続の手配と違って、身の回りの整理は自分で行えます。このように専門家に任せなくてもいい分野の終活こそ、50代からコツコツ始めた方がいいんです」
50代からの終活では、遺影を用意することもすすめているという。
「これにより、終活を始めたことを意識できるからです。遺影は長く飾られるものですから、自分が気に入った写真を選んでおくべきですし、慌ただしい葬儀の前に遺影が決まっていると遺族も探す手間が省けて、大変助かるものなんです」
ほかにも、終末期医療をどこまで希望するかや納骨先、墓の決定など、自分の意思で決めておいた方がいいものや、手続きに時間がかかりそうなものは、判断力のある50代のうちからやってしまおう。