新型コロナウイルスに感染し、急死してしまうケースもある昨今。終わりはいつやってくるかわからないことを考えれば、残される者たちのために早くから「終活」をしておくことは重要である。
終活といえば、財産やお墓に関する決め事だけでなく、身の回りの物の「片づけ」も忘れてはならない。でも、整理や片づけは億劫なもの。思い切って始めても、無理なスケジュールを立てると、途中で挫折するケースもあるだろう。そうならないための整理法を専門家に学びたい。
50代こそがベストなタイミング
終活には手続きに時間がかかるものもあり、50代からコツコツと始めた方がいい。しかし、子供は学生で夫婦は働き盛りの年代だ。まだ早いと思う人いるかもしれないが、整理や片づけはこれからの人生を快適に安全に暮らすためのものなので、むしろ、早ければ早いほどよいと、整理の専門家で、「くらしかる」代表の坂岡洋子さんは言う。
坂岡さんは、ケアマネジャーとして介護現場で働いてきた経験から、老いてしまう前の整理“老前整理”についての必要性を説いてきた。
「整理には、気力、体力、判断力が必要です。60代を過ぎると、これらのパワーが低下してしまうので、整理を続けるのが難しくなるのです」(坂岡さん・以下同)
高齢者の家がいつの間にかゴミ屋敷になってしまうのも、それが原因なのだろう。
「老前整理の目的は、モノを捨てることではありません。この先、自分はどんな環境でどのような暮らしがしたいのか──つまり老後のライフスタイルを考えながらモノを整理していくことにあります。夫や自分の定年後の暮らしを考えながら少しずつモノを整理していくには、50代こそがベストなタイミングなんです」