昨年来続いている新型コロナ感染拡大に伴う自粛生活。「巣ごもり生活」「ステイホーム」という言葉もすっかり定着した印象だ。この自粛生活中に「食べ過ぎて太った」「通販やテイクアウトを買い過ぎた」など、慣れない生活のデメリットに悩まされている人もいるだろうが、その一方で、「コロナ禍で圧倒的に変動費が減った」と言うのは、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏。コロナ禍で家計がどう変化したのか、中川氏が振り返る。
* * *
コロナ禍になってから、リモートワークが機能していて収入が安定しているように見える人でも、「貯蓄が減った」という声を聞いて私は驚きました。「収入が変わらないのであれば、コロナで貯蓄は増えるんじゃないの?」と。
というのも、私の場合は、飲み会の消滅や、それに伴う交通費がかからなくなったことが何より大きかったからです。自炊が増えたため食材購入費は増えたものの、飲み会では「年長者だから多く支払う」という慣例もあったため、明らかに割高だった外食費用がなくなったことで出費がとんでもなく減ったのです。
確かに、人々との交流が減るのは寂しかったものの、まぁ、緊急事態なので仕方がない。むしろ、家人との時間が増えてこれが家庭円満と貯蓄増加に繋がるのであればこれはこれで素晴らしいこと。月に10万~20万円の飲み代がほぼなくなったうえ、深夜タクシー代を含めた交通費も3万~4万円は減りました。
かくして、これまで飲み代が多すぎたがゆえに、私の場合はコロナ禍で貯蓄が増えたのですが、それを他の人に伝えると、「それって変じゃないですか!」という声も聞こえてきました。彼ら曰く、巣ごもり生活はむしろ出費が増えるというのです。個人的にはおかしいとは思うものの、一応彼らの言い分を列挙してみましょう。
「自宅で快適にリモートワークをするには、長時間作業しても快適な机と椅子が必要なので新たに買い直した」
「営業時間の制限がある飲食店を救うために、テイクアウトを積極的に頼むようになった」
「子どもの自宅時間の充実のためにiPadを買った」
「各地の生産者を支援するのと、充実した巣ごもりライフのために、通販で各地の名産品を買った」
「せめて、家の中でも明るくしたいから、家具を一新した」