新型コロナウイルスの影響で想定外の出費を強いられた人は多い。2月16日から始まる確定申告で、それらの出費が経費として認められれば、税金の一部が還付金として戻ってくる可能性もある。しかし前例がないだけに、控除を受けられるもの、受けられないものの見極めは難しい。
コロナ禍でのテレワークは何かと物入りだ。在宅勤務による光熱費や通信費、パソコンなどの備品購入は経費として認められるか。
業務上の経費の扱いは、サラリーマンと個人事業主で大きく異なる。高橋創税理士事務所の高橋創氏が指摘する。
「サラリーマンが確定申告で経費を計上する際は、『特定支出控除』という制度を利用しますが、認められる対象は『通勤費』『職務上の旅費』『転居費』などに限定されます。
金額も制限され、たとえば年収500万円のサラリーマンの場合、給与所得控除額は144万円になり、控除されるのは半分の72万円を超えた分のみ。利用にはハードルが高い。一方で個人事業主は、業務上の費用はほぼ全額経費として認められる可能性がある」
定年後、再雇用ではなく、会社と業務委託契約を結んでフリーランスとして働いたり、新たにビジネスを始めた年金受給者も個人事業主になる。
パソコンやインターネット通信費は?
在宅勤務のためにパソコンを購入したり、インターネット環境を整備した場合はどうなるか。税理士法人リライトの白石真敬氏が語る。
「サラリーマンの場合、テレワークの環境整備は特定支出控除で認められない。パソコン購入費やWi-Fiなどの通信費も経費になりません。在宅勤務のために購入した机や椅子、プリンターなどの備品も同様に対象外です。これらは原則として勤務する企業が負担すべきものと考えられているからです。
一方、個人事業主は、これらの費用を事業用の経費として計上すれば、ほぼ認められるでしょう」
オンライン講座は?
サラリーマンがスキルアップのためにオンライン講座を受けた場合、経費として認められる。
「特定支出控除は、職務に直接必要な技術や知識を得るための『研修費』を認めています。自宅でオンライン講座に取り組んだ人でその費用が会社から出ない場合は、確定申告で控除を受けられる可能性があります」(高橋氏)