半導体不足が深刻だといった報道が最近目立つ。新型コロナ禍の影響で巣ごもり消費が活発となり、世界的に消費者向けの電気製品の需要が伸びている。また、中国を中心として世界各国で電気自動車の生産が活発となっており、1台あたりに使用される半導体の数が増えたことにより、自動車産業からの半導体需要も増えている。
こうした需要増が半導体不足の主な要因の一つとされるが、一方で供給側にも要因がある。
中国本土の半導体ファウンドリによればウエハーの不足が深刻だ。現在、ウエハーメーカーでは、8インチ、12インチの生産量が多いが、消費者向けの電気製品、工業用、自動車用としての需要が多いのは8インチウエハーで、特にその8インチの不足が顕著である。
SEMI(国際半導体製造装置材料協会)の予想によれば、2021年末までに8インチウエハーの生産ラインは各社の積極的な設備投資により過去最大規模となる見通しだ。しかし、足元の需要の伸びには及ばない可能性がある。これから5G、IoT(モノのインターネット)などの普及が急速に進むと予想され、それを考慮すれば今後も8インチウエハーへの需要は増え続けるだろう。
米中関係の緊迫化が要因との見方もあるが、本土内部の需要の強さを考えれば、半導体需要への構造的な変化が足元の需給逼迫の最大の要因と考えた方がよさそうだ。であれば、この半導体不足は少なくとも半年から1年、続く可能性がありそうだ。
景気刺激策、金融緩和策が効きすぎて供給不足も
足下の需給逼迫について、半導体以外のマクロの事例も挙げておくと、中国の輸出拡大によってコンテナや、船舶不足も顕著となっている。上海のコンテナ市況の動きを示すCCFI総合指数は、2020年12月(平均)は1446.08ポイントとなった。同年1月(平均)は996.46ポイントであったので、この間45%上昇している。