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一律6万円コロナ補償の不公平 大手飲食店が集団訴訟の可能性も

東京都は一転、大手にも協力金を支給すると発表したが…(時事通信フォト)

東京都は一転、大手にも協力金を支給すると発表したが…(時事通信フォト)

 コロナ禍の生活や資金繰りを支援する各種給付金制度も、日本社会に新たな歪みを生み出している。飲食業界では、事業規模を無視した補償金の“一律給付”に「あまりに不公平」との不満が噴出。「店名公表」などの政府の対応にも疑問符が付いている。

「今日またランチがどうのこうのと言われましてね、ふざけんなよと」

 1月13日の会見で、上場企業のトップらしからぬ口調で行政への不満をぶちまけたのは、ファミリーレストラン「サイゼリヤ」の堀埜一成社長。怒りの矛先が向けられたのは、政府のあまりに理不尽なコロナ対応だ。

 緊急事態宣言で飲食店に夜8時までの時短営業が「要請」され、対象地域で対応に追われるなか、西村康稔・経済再生担当相は、「昼間のランチは皆と一緒に食べてもリスクが低いということではない」と追い打ちをかけるような発言をした。

 しかも神奈川、埼玉、千葉では時短要請に応じた飲食店に、1店舗あたり1日6万円の協力金を支払うが、当初、東京都は支援対象を資本金5000万円以下または従業員数50人以下の飲食店に限り、大手を対象外としていた。

 これに大手の怒りが爆発。和食「権八」やイタリアン「ラ・ボエム」を展開するグローバルダイニングや、居酒屋「屋台屋 博多劇場」「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」などを手掛ける一家ダイニングプロジェクトなど、午後8時以降の営業に踏み切る飲食チェーンが続出したのである。

 こうした動きに焦った東京都の小池百合子・知事は一転して、大手にも協力金を支給する検討を始めたが、これで一件落着とはいかない。憤りを隠せないのは、一家ダイニングプロジェクトの武長太郎社長だ。

一家ダイニングプロジェクトの武長太郎社長(時事通信フォト)

一家ダイニングプロジェクトの武長太郎社長(時事通信フォト)

「なぜ最初から大手にも協力金を出さず、後出しになったのかが非常に残念。中途半端な補償にも疑問を感じます。しかも現時点で、東京都はまだ大手に協力金を出していません(*追記あり)。この状況が長く続くようなら、従業員の雇用や食材業者や酒屋などのサプライヤー、パートナー企業を守ることができないと感じ、細心の注意を払って通常営業を続けています。私には従業員や関係者の雇用を守る責任があるんです」

【*追記/1月20日に東京都が大手企業を時短協力金の支給対象に加えると発表したことを受け、1月22日より全店舗で時短営業もしくは休業することを発表した】

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