田代尚機のチャイナ・リサーチ

半導体、船舶等がコロナ禍で需給逼迫 世界的なインフレ、金利上昇懸念も

 世界の海運市況の動向を示すバルチック海運指数の動きをみると、新型コロナ禍で2020年5月14日には393ポイントまで下げた指数は10月6日には2097ポイントまで上昇した。その後、クリスマス商戦前の繁忙期を過ぎ一旦下落したものの、12月中旬以降再び上昇し始めており、1月22日は1810ポイントを付けている。

 新型コロナ禍は確かに先が見通せない。もし仮にワクチンの効果が期待通りのものではなかった場合、旅行、運輸、エンタメ・外食産業などのサービス産業を中心に経営が悪化するのは必至だ、そうした弱い産業の企業倒産がきっかけとなり、他の産業にも倒産の連鎖が広がり、経済危機に繋がる可能性もないとは言えない。

 しかし、そうした経済の弱い部分を支えることができれば、新型コロナ禍で需要が拡大する産業もあり、景気全体をみれば落ち込みは軽微となるのではなかろうか。ワクチンの効果に季節的な要因が加わり、グローバルで新型コロナの封じ込めに成功する可能性もある。そうすれば今度は逆に、各国の行った景気刺激策、金融緩和政策が効きすぎてしまう。多くの製品で供給が不足し、インフレの懸念が出てくる。

 さらに、もしアメリカが世界の工場である中国とのデカップリング(切り離し)を続けようとすれば、供給不足に拍車がかかり、グローバルでインフレ、金利上昇が起こるといった最悪の事態が発生しかねない。

 新型コロナ対策では、各国政府に非常に難しい匙加減が要求されそうだ。政府の力量が試される。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動中。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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