500円台で焼肉セットが食べられる魅力!
さて、料理の方だが、最も安いセットメニューである『バラカルビセット』100gは、脂身がたっぷりの薄切りバラカルビが8枚盛られている。これが意外とボリューム感があるのだ。もちろん、高級焼肉店などに比べれば、“値段相応の肉”だが、これが税込み600円程度で食べられるというのは、たしかにコスパがいい。
『牛タン&匠カルビ&ハラミセット』150gの方は、『バラカルビセット』に比べるとそこまでコスパにインパクトがあるわけではないが、3種類の肉を楽しめるのは嬉しい点だ。ボリュームも十分だった。
また、好印象なポイントは、ごはんの炊き加減。適度に水分が少なく、焼肉にとても合う炊き加減だった。『ちょいたしカレー』との相性もバッチリだ。
タレの味や肉の質については、好みが分かれる部分もあるだろう。1500円程度の定食ランチメニューを提供する高級焼肉店もあり、そちらのほうがお得だと考える人も少なくないはず。しかし、税別価格530円でセットの焼肉を食べられる店はそう多くなく、この点は『焼肉ライク』の大きな魅力だと言える。もしも店舗数が増えれば、このコスパの良さがもっと知れ渡ることとなり、さらに人気が高まる可能性もあるだろう。
一方で、収容客数の割に店舗がそこまで広くない点はデメリットかもしれない。特にコロナ禍においては、もし大声で話すような客が店内にいたら、どうしても気になってしまうだろう。
小浦氏は『焼肉ライク』の今後の課題についてこう話す。
「食べるのに時間がかかる焼肉は本来回転率が悪く、その結果“いかにして客単価を上げていくか”という方向に進む店が多いんです。そうしたなかで『焼肉ライク』は、客単価を下げて回転率を上げるという、まったく逆のアプローチをしています。それだけ、かなり難しいチャレンジではあるものの、焼肉のファストフードというものが、これまでほとんどなかったこともあり、もしも成功すれば“1人勝ち”となるわけです。
もちろん、焼肉をファストフードに最適化するのはそう簡単なことではない。今回、記者のAさんがテーブルに通されるまで10分以上かかってしまったことなどは、まさに典型的な課題と言えるでしょう。提供するメニューのクオリティーももちろんですが、サービスのクオリティーをいかに上げていくかが重要なのではないかと思います」
『焼肉ライク』は、1人焼肉市場をどこまで開拓できるか。