財務省は内々に、感染収束後に消費税率を引き上げる“コロナ復興税”のプランを立てているという。経済アナリストの森永卓郎氏がいう。
「コロナ対策に使った国費は76兆円。財源を消費税でまかなうとしても、税率1%で2兆8000億円の税収があるので、25年で回収できる。しかし、財務省がそれで満足できるはずがない。税率を5%上げて消費税を15%にすれば5~6年で回収できます。財政再建を理由に大きく上げるつもりなのでしょう」
消費税率が15%に引き上げられると国民の家計はどうなるか。総務省の家計調査(2019年)の世代別年間消費支出をもとに、税率15%に引き上げられた場合の中高年世帯(2人世帯)の家計負担が年間どれだけ増えるのか試算した。
◆40代 約25万9000円増
◆50代 約27万6000円増
◆60代 約22万8000円増
◆70代 約18万8000円増
全世代平均で年間約22万8000円の負担増となった。
政府はコロナ対策で何百兆円も使ったというが、そのうち国民全員が直接受け取ったのは一律10万円の特別定額給付金(総額約13兆円)くらいだ。2人世帯なら20万円を1回きりである。
その財源をまかなうために、消費増税で毎年家計から20万円以上“回収”されていくことになる。
中小零細事業者への「持続化給付金」(約5兆円)、「家賃支援給付金」(約2兆円)、「時短協力金」(約1兆円)といった直接給付も、全体の予算規模からみれば金額は大きくない。
コロナ経済対策の大半は、政治家やシロアリ官僚の“つかみガネ”となってGo Toキャンペーンをはじめ、国土強靭化の公共事業、マイナンバーの普及などのオンライン予算、外交・領事体制のデジタル化から「成年後見制度」の促進まで、コロナ対策とはほとんど関係ない事業に使われた。
そうしたシロアリたちが食い荒らした巨額の無駄遣いまで、コロナ後に大増税として国民に付け回されようとしている。
徴税側にとってコロナは災厄ではなく「打ち出の小槌」なのだ。
※週刊ポスト2021年2月19日号