出荷当日に解凍
──その後、アスクルは2012年にヤフー(現・Zホールディングス)と資本提携します。
吉岡:そのタイミングで立ち上げたのが、食品など日用品の個人向けネット通販サービス「LOHACO(ロハコ)」です。
アマゾンさんが日本に進出して以降、2000年ごろから、物品購買のEC化は加速していきました。
インターネット通販を中心にして価格も品揃えもスピーディーに市場に対応していくビジネスモデルに転換しなければならないという問題意識が当時は大きかった。
──サイトの特徴は?
吉岡:他のECサイトでは取り扱っていない、弊社のプライベートブランドの商品や、各メーカーさんにご協力いただいている当社限定商品のラインナップには自信を持っています。
一例をあげると、2019年9月から発売した「ロハコブレッド」は大ヒットしました。通販で「焼きたてのパン」が届くというコンセプトの商品です。
──オフィス用品や雑貨が主力の会社でありながら、「食品が売れ筋」とは意外です。
吉岡:食品の美味しさには自信を持っていますね。そもそもパンは消費期限が短く、手元に届くまで時間がかかる通販には不向きでした。
しかし、「ロハコブレッド」は焼き上げた直後に急速冷凍しておいしさを閉じ込め、受注が入った分のみを出荷日当日に解凍するという手法で「焼きたての美味しさ」を実現できた。リピート率が非常に高い商品です。
他にも、発送当日に精米することで鮮度の高い状態でお届けする「ろはこ米」や、奥軽井沢の水源から採水した水をグループ会社でパッキングした「ロハコウォーター」が人気です。現在、環境問題の対応からラベルレスのペットボトルが注目されていますが、最初に手がけたのは「ロハコウォーター」です。
プライベートブランド以外で好評なのが、1ロールに通常の3倍の量が巻かれたトイレットペーパー(「スコッティ フラワーパック」)。「トイレットペーパーの交換の回数や手間を減らしたい」という声に応えた商品です。「かさばって輸送コストが高い」というトイレットペーパーならではの問題も解消できました。
このような商品は、消費者の手間が省けて、環境への配慮にもつながる。今後の商品開発において、重要な視点だと考えています。