「緊急事態宣言」が3月7日まで延長された。野村総合研究所の試算によると、1月8日に発令された同宣言が2か月続くことによる経済損失は5.8兆円に達し、その影響により失業者数は22万9000人増えると予測されている。特に飲食店などの営業時間短縮の要請は、時間給で働いている人たちの生活も直撃しているようだ。コロナ禍で自身と娘2人のパート・アルバイトが激減した50代のパート主婦の家計について、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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「この状況はいつまで続くのか……。本当に辛いです」。そう語るのは都内在住のパート主婦、馬場加奈子さん(仮名・50歳)。会社員の夫、大学生の双子の娘の4人家族である。馬場さんの身に何が起きたのか。
「コロナの影響で娘たちはバイトを無期限休みになってしまいました。もう半年近くバイトできていないようです」(馬場さん、以下同)
1月7日に東京、千葉、埼玉、神奈川を対象に発令された緊急事態宣言は、その後11都府県まで拡大された。国民一人一人が感染予防を意識していることもあり、新規感染者は減少傾向にあるようだ。今後もその傾向を継続させるため、菅義偉首相は栃木県を除く10都県の緊急事態宣言を、3月7日まで1か月延長することを表明した。
緊急事態宣言により、対象地域の飲食店は大きな影響を受けている。20時までの時短営業を守ることで1日一律6万円が支給されるものの、人件費や家賃などのことを考えると賄いきれないと嘆く飲食店経営者は多い。また、アルバイト従業員たちもシフトを減らされたりするなど、安定した収入が得られないといった問題も発生している。
馬場さんの娘たちは居酒屋でアルバイトをしていたものの、新型コロナウイルスの影響で客足が減り、徐々にシフトが削られてしまった。現在は社員のみで店をまわしている状態だという。2人ともあまり浪費するタイプではないそうだが、半年もアルバイトができない状態が続くと貯金も底をつき、母である馬場さんに頼り始めたそうだ。