昨年1月、国内で初めて新型コロナウイルス感染者が確認され、春には1度目の緊急事態宣言が発せられた。その後、感染拡大の小休止、再度の流行を繰り返し、現在は2度目の緊急事態宣言が発令中だが、その間に行われた対策によって我々の生活は一変した。
三密(密閉、密集、密接)を避ける生活が定着した。外出時、人々の集まるところではマスクを着用し、スーパーでもレストランでも、出入りの際にはアルコール消毒が徹底されるようになった。そうした人々の生活様式の変化は人口動態にも表れている。
厚生労働省は2月3日、2020年9月の人口動態統計月報(概数)を発表した。それによると1月1日から9月末までの死亡者数は日本全体で100万3242人となり、前年同期と比べ1万7365人減少した。総数だけなら11月累計の速報値が発表されており、1万5322人減少している。どうやら2020年は11年ぶりに死亡者数が前年を下回った可能性が極めて高いようだ。
9月までの累計データでみた項目別ワースト3は、【1】悪性腫瘍などの新生物(腫瘍)、【2】心筋梗塞、心不全、脳梗塞などの循環器系の疾患、【3】呼吸器系の疾患であるが、それぞれ順に累計人数、対前年同期比の変化数を示すと以下の通りである。
・悪性腫瘍などの新生物(腫瘍):29万278人、+1104人
・心筋梗塞、心不全、脳梗塞などの循環器系の疾患:25万945人、▲7886人
・呼吸器系の疾患:12万7709人、▲1万6387人
・全体:100万3242人、▲1万7365人
(老衰:9万4822人、+6737人)
悪性腫瘍などで亡くなられた方が増えている中で、循環器系、呼吸器系の疾患で亡くなられた方の数が大きく減っている。呼吸器系の疾患で亡くなられた方々について、一部をブレークダウンしてみると以下の通り。
・インフルエンザ:938人、▲2314人
・肺炎(誤嚥性を含まない):5万8822人、▲1万2456人
・誤嚥性肺炎:3万834人、+1277人