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【日本株週間見通し】日経平均は29500円突破、今週も勢いは続くのか?

 買い遅れた投資家は依然相当数存在していると思われ、日経平均は引き続き堅調な値動きが見込まれる。主力企業の決算を受けて、電子部品などのハイテクだけでなく、自動車などの輸送用機器や鉄鋼、金属製品などの景気敏感セクターにおいても想定以上に良好な決算が相次いだことは間違いなくポジティブ材料だ。

 また、足元の相場の特徴は、新型コロナウイルスの影響がとりわけ大きいとされるようなセクターの株価も堅調なことである。外出自粛の影響が大きい化粧品や鉄道、テレワークの定着が打撃とされる不動産など、これら関連株の株価も足元では非常に堅調な推移となっている。

 例えば、化粧品であれば、資生堂<4911>やポーラオルHD<4927>など。双方とも決算内容が好感された面もあるが、1月末に下方修正を発表したコーセー<4922>でも好調な株価推移だ。また、鉄道でも総じて株価が回復基調のものが多いが、10-12月期も営業赤字が続き、通期計画も下方修正されたJR東<9020>の株価も大きく回復してきている。そのほか、三井不動産<8801>や三菱地所<8802>などの不動産株も、オフィス賃貸など主力事業ではなく、ビルや物流施設の売却益による寄与度が大きいが、業績の改善傾向を受けて株価は好調だ。

 こうしたところから相場の強気さが確認できると同時に、市場が完全にアフターコロナを見据えている様子が窺える。もともと、ワクチン普及が視野に入った昨年末頃からこうした動きは少しずつ見られてきたが、米国追加経済対策の早期成立の期待に加え、ワクチン普及の目処、想定以上の業績回復を示す好決算を受けてこうしたシナリオがより濃厚となった形だろう。

 また、10日には、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が「緩和的な金融政策を忍耐強く続けることが重要」との見解を示したことで、株式市場にとってポジティブな過剰流動性もしばらくは継続する見込みとなった。大規模な財政政策と金融政策、ワクチン普及ペースの加速、こうした良好なマクロ環境に加えて、今回の主力企業の決算を受けてファンダメンタルズの裏付けも得られた。足元は好材料が多く揃う一方で特段の売る材料が見当たらない。総楽観的なムードというのはいささか危険だが、目先は強気相場に付いていくのが得策といえよう。

 昨年、大統領選以降、年末にかけて日本株を大きく買い越してきた海外投資家は、2020年はそれでも累計で6兆円もの売り越しだった。さらに遡ると、2019年は2.7兆円の買い越し、その前の2018年は13.2兆円の売り越しであり、直近3年にわたる海外投資家の日本株売買動向は差し引き16兆円ほどの大量売り越しだ。日本株は、「グローバル景気敏感株」とも呼ばれ、景気回復局面では海外投資家が真っ先に目を向ける投資対象とも言われている。

 足元の業績回復を受けて、アナリストの業績予想の上方修正数から下方修正数を引いたリビジョンインデックスは急速にプラス幅を増してきている。世界経済と企業業績の回復が見込まれる2021年、これまで大量に日本株を売り越してきた海外投資家の買い余力がまだ大いに残されていることを考慮すれば、日経平均の3万円越えも時間の問題といえよう。

 1月後半からは、決算を受けた業績回復期待の高まりのほか、米国での追加経済対策やワクチン普及への期待感、これに伴う米長期金利の上昇・高止まり等を背景に、景気敏感株やバリュー(割安)株優位の地合いが続いた。しかし、足元の買い直しでバリュー株のバリュエーション面での水準訂正は相当程度進んだことに加え、決算一巡でイベントにも区切りがついた。また、FRBによる緩和的な金融政策の継続が改めて確認されたことで、米長期金利の上昇にもそろそろ一服感がみられてもおかしくないタイミングだ。

 そうしたなか改めて物色の矛先が向かいそうなのがハイテクやグロース(成長)株だ。ハイテクの中でも東京エレクトロンなどの半導体関連は先んじて既に押し目買いがかなり入っているが、村田製作所などの一部ハイテク株はまだ軟調な推移が続いているため、これら関連株にも押し目買いが入るか注視したい。また、エムスリー<2413>などのグロース株についても同様だ。ただ、仮に、米長期金利(10年物国債)が直近高値1.167%(2月5日)を超えてきて1.2%台に突入してくるようだと、、ハイテク・グロースの軟調推移、出遅れ株物色の動きが続くことになるだろう。

 今週の主な国内スケジュールは、15日に10-12月期GDP速報値、17日に12月機械受注、1月貿易収支、18日に1月首都圏マンション発売、19日に1月全国消費者物価指数などが予定されている。

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