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エバラ食品工業:家庭用食品の業績好調、株価上昇の余地もあるか

エバラ食品工業(2819):市場平均予想(単位:百万円)

エバラ食品工業(2819):市場平均予想(単位:百万円)

企業概要

 エバラ食品工業(2819)は、「焼肉のたれ」「黄金の味」「浅漬けの素」など調味料を製造販売する食品メーカーです。

 焼肉のたれ(市場規模201億円)で47.2%、すき焼きのたれ(同75億円)で62.5%、浅漬けの素(同61億円)で46.9%といずれもトップシェアを獲得するタレ業界の重鎮。「黄金の味」シリーズの年間出荷数は4000万本。日本一売れている焼肉のタレとしてのポジションを確立しています。

 最近ではポーションタイプの鍋調味料が成長しており、テレビCMやSNSで汎用性を発信して年間定番商品への格上げを進めています。

 食品類は、家庭用調味料を中心に業務用も展開。業務用は食品事業売上の18%程度で、あくまでの家庭用食品が主力となっています。また、もともと食品事業の一環として始めた物流事業が、今では外部売上6割に達し、全体売上の12%を構成するまでに成長しています。

 国内では共働き世帯や単身世帯が増加しており、家庭での調理は、時短ニーズや、簡単で便利な簡便ニーズ、そして即食ニーズが顕在化してきました。またインターネットの普及を背景に、お取り寄せグルメや宅飲み文化も育ち、内食需要も拡大傾向にありました。そうした中、コロナ禍での外出自粛やテレワーク移行などにより、食習慣はさらに内食化が進むことになりました。調味料メーカーはこうした環境変化の恩恵を享受していると見られます。

注目ポイント

 業績は好調に推移しています。コロナによる業務用食品の減収影響についてはやや不透明感が残りますが、それを跳ね除けるほど家庭用食品が好調に推移しています。同社は焼肉のたれで認知度を上げ、市場ポジションを確立している上、マーケティングが上手であることが評価されます。素晴らしい商品を作っても売るすべを知らなければ、誰にも認知されずに消えゆくわけです。その点、同社は焼肉のタレを開発したとき(1968年)、売り方にも工夫を凝らし、それで成功しています。提案型マーケティングはその頃から磨かれ続けてきたのでしょう、現在は、焼肉のタレの汎用性訴求やポーション調味料のイメージ変革に、提案型のビジネススタイルが強みを発揮していると思います。

 本業を通じて安定したキャッシュフローを創出する力があるので、財務基盤は強固です。

 利益増により、営業キャッシュフローは前年同期比89.4%増の19億700万円に拡大しており、それによって現金等手元資金も13.1%増の134億7400万円に。有利子負債は1億8700万円ありますが、ネットキャッシュの盤石な財務内容となっています。

 また、株主還元の面もポジティブです。今期年間配当金は1円増配となる37.0円とする方針。増配は5期連続です。株主優待も実施しており、100株以上の保有で1000円相当の自社商品セット、1000株以上で5000円相当のクオカードなどが優待内容となっています。

 株価は第3四半期の業績(通期計画の上方修正)を受け、2月に入ってから10%ものパフォーマンスを見せています。ただ、PERは13倍、PBRは1倍程度と割高感ない水準。また同社株は長期にわたって100日線に支えられながら推移しており、下落圧力は小さいと思われ、これから購入を検討する余地は残されていると思います。

【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。

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