TBSの2020年3月期の業績は、本業であるメディア・コンテンツ事業の営業利益24億円に対して、不動産・その他事業は同79億円と3倍以上を稼ぎ出した。朝日新聞も大阪・中之島の“ツインタワー”などが収益源となり、メディア・コンテンツ事業のセグメント利益19億円に対し、不動産事業は同68億円だ(2020年3月期)。
「朝日新聞は不動産の安定利益が会社を支える典型例ですから、逆に不動産市況が激変すれば、経営への影響が出るでしょう」(榊氏)
食品関連では、サッポロHDが恵比寿や札幌といった工場跡地の再開発を進めてきたが、稼ぎ頭である複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」ではテナント撤退や縮小が相次いだ。2月末には、同施設のシンボルだった三越の撤退が決定している。
鉄道やエンタメ、食品といった業界は、コロナによって「本業」の事業戦略、収益モデルの見直しを迫られている点が共通する。ただ、今後が注目されるのは「副業」のほうも同様なのである。
賃貸ビジネスなどの投資用とは別の観点からも、「企業と不動産」の関係は大きく変わりつつある。これまで一等地にオフィスを構えるのが一流企業の証だったが、「不動産売却」を選ぶ企業も出てきている。