2月16日、NTTとKDDIは、「就職氷河期世代」の就労を支援することを発表、両社と他企業合わせて300人超の雇用を目指すとしている。氷河期世代はバブル崩壊後の就職に苦しんだ世代で、現在は主に40代。2019年には政府が、この世代の正規雇用を30万人増やすとの目標を閣議決定するなど、国を挙げて様々な救済措置が試みられているが、まだまだ苦しんでいる人は多いようだ。氷河期世代男性のリアルな声を聞いた。
現在中堅メーカーに勤める40代の男性・宮野さん(仮名)は、2001年に関西の私立大学を卒業。在学中には就職先が決まらず、卒業した年の夏になって、家族経営の零細企業に正社員として採用された。
しかし、寝る時間もないほど忙しかったにも関わらず残業代が支給されることはなく、有給を使わなければ日曜しか休みがない。それで手取りは月に13万円。上司からのパワハラも相まって、1年余りで退職した。結婚を意識した女性がいたが、収入面での不安から破局。そのまま現在も独身で、一人暮らしをしている。
日雇いやアルバイトを転々としたのち、ようやく現在の会社に正社員として就職できたという宮野さん。しかし、満足のいく生活からは程遠いものだった。
上司からはまともに仕事を教えてもらうことはなく、ほぼ丸投げ。手探りで仕事を進めてきた。年齢を重ねても後輩が増えず、本来は若手がするような仕事や雑用も全てやってきた。
そうした経緯から、やっと後輩ができたときには、宮野さんは喜び、一生懸命指導しようと決心した。だが、宮野さんの思いとは裏腹に、後輩は「先輩は厳しい、怖い」「残業が多い」「僕がやる仕事ではない」などという理由から、あっさり会社を去って行った。宮野さんはため息まじりに語る。