「正直、飲食店はまだいい方。補助金は規模に関係なく一律で出ていますし、コロナ対策費用をそこで賄うという考え方もあると思います。感染症対策に敏感なのはホテルや旅行業界も一緒ですが、その費用をお客様に負担してもらうのは議論が分かれそうですね。
ただ、このままコロナ禍が続くのであれば、居酒屋のお通し代やホテルのサービス料のように、感染症対策料というものが当たり前になるかもしれませんし、そうでなければ値上げしないとやっていけなくなるところも多いのではないでしょうか」(Bさん)
では、当の居酒屋側はどう考えているのか。都内で大衆居酒屋を営む店主は、コロナ対策の切実な事情を明かす。
「消毒アルコール、ビニールカーテンを設置したほか、これまでプラスチックだったお箸を、全部個包装されている割り箸にしました。取り箸なんかも割り箸にするので、1人1膳とかでは追いつかない。お客さんの数以上に、割り箸の消費量は多いですね。
テイクアウトも始めたのですが、そうすると『割り箸を4膳ください』など、かなりの数を欲しいと言われることがあります。割り箸はサービス、みたいな文化がありますが、お店にしてみたら、割り箸だってタダじゃない。そういう意味で、お店の負担は確実に増えている。感染症対策料という名目にすべきかどうかはわかりませんが、今までと同じ料金体系だと疲弊していく一方です」
コロナ禍において、今までと同じ料金で同じサービスを求めるのは難しい。店側の負担を客側がどこまで理解できるか──。