内緒の副業が発覚した場合のリスク
会社に内緒で副業を続けていたことが発覚した場合どうなるのか。いきなり解雇になるリスクはあるのだろうか。
「過去の判例は、副業を理由として従業員を解雇したところ、この解雇が解雇権の濫用として無効になったケースが複数あります。本業への具体的な支障を立証できなかったり、競合他社で副業するなどの悪質な競業避止義務違反などがない場合、解雇の処分は厳しすぎるとされる可能性があるでしょう。
最初は口頭や書面で注意をし、改めなければ減給や降格などの処分を検討するなどの手順になることが多いと思われます。ただ、就業規則にもよるので、やはり副業を始める前に就業規則を確認することが大切です」
副業禁止の会社とどう交渉するか
会社が副業を制限できる条件をみてきたが、逆にいえば、こうした合理的な理由がなければ、会社として副業を禁止するのは厳しいということになる。副業禁止の会社で、どうしても副業したい場合には、会社と交渉するのも手だ。
その際、前述(1)~(4)に該当しないことを説明するのがポイント。また副業で得たスキルが本業にも役立つことなど、会社にとってのメリットもあれば説明しておきたい。
企業法務サービスを提供するunite株式会社代表取締役の角田行紀氏のもとには、ここ数年、「副業を許可したいが、どのように就業規則を修正したらよいか」という相談が寄せられることが増えてきたという。同氏は副業を許容する流れは今後加速していくと予測する。
「弊社でも副業を許可するパターンの就業規則のパッケージを急ぎ開発しています。社員の副業を全面的に支援したいという経営者は多くないですが、ニーズの高まりから容認せざるを得ないのだろうと感じます。就業規則の改定は会社と社員双方のリスクを減らすことに繋がります」(角田氏)
収入を補填する手段として、ますます注目される副業。トラブルを起こさないよう、勤務先との事前の調整が肝要だ。
【プロフィール】
渡邉雅司弁護士(わたなべ・まさし)/平成21年(62期)弁護士登録、半蔵門総合法律事務所所属