未曾有のコロナ禍によって一変した生活。その変化は当然、日々の家計にも影響を及ぼします。総務省が毎月発表している「家計調査」では、毎月の家計収入・支出の状況をみることができますが、2月の発表では2020年平均の家計状況も記載されています。こちらの調査結果(二人以上の世帯のうち勤労者世帯ベース)から、コロナ禍で変化した家計状況をみていきましょう。
可処分所得は増えたが、消費支出は減った
まずは大きく、毎月の家計の「入り」と「出」がどう変化したのかを押さえておきます。
可処分所得:2019年476,645円→2020年498,639円(4.6%増)
消費支出:2019年323,853円→2020年305,811円(5.6%減)
平たく言ってしまえば、2019年と比べて、「使えるお金は増えているのに、お金を使っていない」のが2020年の家計だ、ということになります。
どうして使えるお金が増えたのか。言わずもがな、コロナ対策として一律給付された特別定額給付金10万円の影響が大きいでしょう。収入の細目のうち、経常的な給与・収入以外の「特別収入」の金額をみると、
特別収入:2019年9,082円→2020年30,408円(234.8%増)
と、大幅な伸びを示していることがわかります。
給付金のおかげもあって、平均して毎月2万円ほど増加した可処分所得。ですが、消費支出は反対に2万円弱の減少。この理由も言わずもがなですが、コロナ禍によってお金を「使えない」&「使わない」費目が出てきたことによるものです。
家計に生じた余力が向かった先は消費以外にも
実際にどんな費目への支出が減少しているのか。支出費目(大項目)を2019年からの減少率の大きい順に並べてみました。
被服及び履物:2019年12,935円→2020年10,654円(17.6%減)
教養娯楽:2019年31,948円→2020年26,824円(16.0%減)
教育:2019年18,529円→2020年16,548円(10.7%減)
その他の消費支出:2019年62,195円→2020年55,868円(10.2%減)
交通・通信:2019年54,943円→2020年49,469円(10.0%減)
住居:2019年19,292円→2020年18,824円(2.4%減)
光熱・水道:2019年21,838円→2020年21,696円(0.7%減)
食料:2019年77,431円→2020年79,496円(2.7%増)
保険医療:2019年12,662円→2020年13,068円(3.2%増)
家具・家事用品:2019年12,079円→2020年13,364円(10.6%増)
減少率が最も大きかったのは「被服及び履物」。緊急事態宣言の発出期間も含め、家にいる時間が増え、外出の機会が減ってしまったことで、ファッションにお金を「使わない」。2番目に大きかった「教養娯楽」には、様々なレジャーやエンタメ系の項目が含まれますが、外出を避けて「使わない」ことに加え、感染拡大防止のために、多くの催しが中止になってしまい「使えない」ことの両面から金額が減少していそうです。