日経平均株価が約30年ぶりに3万円の大台を回復した。コロナの感染拡大が始まった昨年3月には一時1万6000円台まで落ち込んだが、そこからわずか1年でざっと2倍に急騰。証券ストラテジストの間では年内にバブル絶頂期の史上最高値3万8915円を超え、「株価4万円」に達するとの見方まで出ている。
しかし、株価が上がっても、“持たぬ者”には無縁だ。では、この「令和の株価バブル」の恩恵を受けているのは誰なのか。真っ先に挙げられるのがソフトバンクグループの孫正義・会長兼社長やファーストリテイリングの柳井正・会長兼社長ら上場企業の創業者やオーナー経営者たちだろう。
本誌・週刊ポストは「200億円以上を保有する令和の『ネオ株長者』150人ランキング」(2021年1月15・22日合併号)で、昨年10月末時点の株価と保有株数をもとに1位の孫氏の株資産は約2.5兆円、2位の柳井氏は1.5兆円とする試算を紹介した。現在のソフトバンクグループの株価は4か月前の約1.55倍、ファーストリテイリングも約1.44倍になっており、株高で孫氏は1兆円以上、柳井氏も数千億円単位で資産を増やした計算になる。
一般投資家はどうか。日本証券業協会の資料によると、日本の個人投資家の人数は20年3月末で約1359万人、国民のざっと1割だ。2019年度末で1人あたり4銘柄を保有し、株の保有金額は平均665万円だった。
年齢別では60歳以上が603万人で半数近くを占め、「40~60歳未満」が380万人いる。ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏が語る。
「今回の株高を牽引する銘柄の一角であるファーストリテイリングは、売買単位の100株を買うのに1000万円近い資金が必要です。一般的な投資家には手に届かない銘柄で、個別銘柄として保有しているのは機関投資家と一部の富裕層にとどまります。近年は新興のスマホ証券で100株に満たない株数でも投資ができる金融機関は増えていますが、こうした新興証券の顧客は若年層が中心です」
今回の株高の恩恵を受けている層には偏りがあるわけだ。