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【日本株週間見通し】日経平均は一進一退? 米長期金利なども影響か

 ただ、週後半の海外材料には注意を払いたい。米国時間10日には米2月消費者物価指数(CPI)が発表される。これを反映するのは日本時間で11日。足元、過大とも指摘される財政支出による景気のオーバーシュート、インフレ加速、これを反映した米長期金利の上昇が相場の関心事になっている。

 FRBはインフレは起きても一時的なものとしているが、先走りがちな市場においては依然としてインフレ懸念がくすぶっている。CPIで仮に強い数値がでると、相場もデリケートに反応するかもしれない。飲食・レジャーなどのサービス業はまだまだ弱く、食品・エネルギーを除くコアであれば弱い数値が出るであろうが、これが市場に安心感を与えるとは考えにくい。むしろ、エネルギーを含んだCPIで強い数値が出た場合には敏感に反応する可能性もある。

 昨年はコロナショックなどの打撃もあるが、それ以前から原油価格が落ち込んでいたため前年比で高く出やすいことは織り込み済みのはずではあるが、地合いが悪い場合はたとえ周知の事実でも弱い材料に反応しやすいことに留意しておきたい。特に今週はメジャーSQがあるため神経質になりやすい面もあるだろう。

 そのほか、海外時間で11日にはECB定例理事会があり、ラガルド総裁の記者会見がある。FOMCを前に決定的な材料とはなりにくいだろうが、金利動向などをけん制する緩和的な発言が出れば、一定の相場の安心感には繋がるかもしれない。そして、週末はメジャーSQのほか、1-3月期の法人企業景気予測調査がある。これ自体が相場に大きな影響力を持つとは考えにくいが、足元、インフレや金利の動きに敏感になっているなか、実体経済の確かな裏付けとして企業の景況感の改善などが示されれば、長期的な安心材料にはなろう。

 基本的には再今週に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)という大きなイベントを前に、週末のメジャーSQもあるため、今週は週を通じて積極的な売買は手掛けにくいだろう。ただ、実質金利は依然マイナスで、これがプラスになるほどの米長期金利の上昇(2%弱の水準)は今のところ考えにくい。

 パウエルFRB議長も、失業率の低下だけでなく、賃金の増加や景気回復の初期段階で恩恵を受けないマイノリティー(少数派)の雇用増など、「全ての回復を目指す」としており、緩和政策の継続を度々強調している。そのため、長期的な視点からみた相対的な株式の魅力が失われたわけではない。

 日経平均は、先週末にかけての下落で週足チャートでは一時13週移動平均線近くまで下落したが、後場は急速に値を戻すなど強い押し目買い意欲も見られた。長期的な視野からみれば調整一巡感もあろう。ここは焦らず冷静にいきたいところだ。

 2月入り前後からみられた景気敏感株を中心とした主力大型株優位の展開は10-12月期決算以降も続いてきた。しかし、そうした動きもそろそろ一巡してくる頃合いと思われる。また、米FOMCを前に大型株は手掛けにくいという背景もあろう。そうした中、幕間つなぎ的な形で中小型株物色が優位となりそうだ。

 中小型株は流動性の観点から大型株に比べて業績内容を織り込むのに時間がかかり、割安に放置されやすい側面もある。ここからは大型優位の相場展開の中で注目されてこなかった中小型株の妙味が出てくるタイミングと考えたい。新興市場でも、マザーズ指数は先週末に直近半年間でのレンジ下限付近まで調整しており、一巡感も台頭しそうなところだ。東証1部から新興市場まで広く中小型株に注目したい。

 今週の主な国内外スケジュールは、8日に1月景気動向指数、2月景気ウォッチャー調査、9日に1月家計調査、10-12月期GDP改定値、10日に中国2月生産者物価指数、中国2月消費者物価指数、米国2月消費者物価指数(CPI)、米国2月財政収支、11日に2月企業物価指数、欧州ECB定例理事会、12日に1-3月期法人企業景気予測調査、メジャーSQ、米国2月生産者物価指数などが予定されている

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