投資情報会社・フィスコが3月8日~3月12日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。米長期金利の上昇基調が続くなか株高は一服し、リスク選好の円売りはやや後退する可能性がある。ただ、欧米中央銀行の金融政策を巡る思惑でユーロ売り・米ドル買いが優勢となった場合、ドル円の取引でもドル買い・円売りがやや強まる可能性がある。米国株式市場は米長期金利の上昇でハイテク株を中心に売り圧力が強まっており、強気相場は一服する可能性がある。それを受けアジアや欧州諸国の株価が失速すれば、リスク選好的な円売りはやや弱まる見通し。
一方、欧州中央銀行(ECB)は11日開催の理事会で現行の金融政策維持を決定する公算だが、声明やラガルド総裁会見での長期金利への言及が手がかりになる。複数のECB当局者はこれまで金利上昇をけん制していることから、引き続きユーロ売りの要因になろう。逆に、米連邦準備制度理事会(FRB)は景気回復については慎重だが、長期金利の一定の上昇を容認する姿勢を維持している。米10年債利回りが底堅く推移すればドル売りは仕掛けづらい。金利上昇を嫌って米国株式がさえない動きとなってもドルは金利高を手がかりとした買いがサポートしそうだ。経済指標に関しては、インフレ関連の内容を受け長期金利がさらに上昇した場合、ドル円は108円を挟んだ水準での取引が多くなりそうだ。
【米・2月消費者物価コア指数(CPI)】(10日発表予定)
10日発表の米2月CPIは、前年比+1.3%と1月実績の同比+1.4%を下回る可能性がある。市場予想と一致した場合、米10年債利回りは伸び悩む可能性があるが、上回った場合はドル買い材料になりそうだ。
【米3月ミシガン大学消費者信頼感指数】(12日発表予定)
12日発表の米3月ミシガン大学消費者信頼感指数は77.2と、2月実績の76.8から小幅上昇の見通し。市場予想を上回った場合、株高・金利高・ドル高の要因となろう。