田代尚機のチャイナ・リサーチ

高値更新後もビットコインは“買い”なのか? 急騰を繰り返す背景

当局はビットコインの急速な普及を歓迎できない

 この追加対策では、企業救済や、新型コロナの検査拡大、研究支援などにも資金が拠出されるが、多くの部分が個人への給付金として使われる。当局としては消費の活性化を意図しているのだろうが、資金は金融商品にも流れていく。

 今回の1人あたり最大1400ドルの給付は2020年3月の1200ドル、12月の600ドルに続く3回目となるが、過去の給付ではその一部が株式やビットコインに流れ込み、価格上昇を牽引したとみられる。こうした前例があるため、株式にしろ、ビットコインにしろ、先回りによる急騰が起きている。

 はたしてここから買って大丈夫だろうか。ドルとの代替通貨としてビットコインが急速に普及すれば、当局は資金の流れを管理しにくくなる。国際的なマネーロンダリングに使われる可能性も否定できず、当局にとって、ビットコインの急速な普及は歓迎できない。

 企業の投資が増えているとはいえ、価格変動が極端に大きい分、収益に与える影響が大きい。そうした影響をできるだけ小さくするためには会計制度を修正する必要もありそうだ。

 ボラティリティ(変動率)の高い状態が続くことを前提に、現段階では投機、ゲームと割り切って取引する類のものではないだろうか。

 もっとも、長期的にビットコイン需要は大きく拡大すると確信しているのであれば、覚悟をもって投資すべきだろう。たとえ、3か月で投資資産(評価額)が4分の1になっても、3年後に4倍になればよいと思えるぐらいの強い気持ちと十分な余裕資金が必要だろう。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動中。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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