日経平均株価が約30年ぶりに3万円の大台を回復した。株高の背景には、日銀をはじめとする政府系マネーや海外の機関投資家に加え、“カネを持て余した個人投資家”の存在も見え隠れする。日本では、不正に受給したコロナの各種給付金をタネ銭に、株を始める人が続出。巨額の“ボーナス”を手にしている。
2月15日に申請が締め切られた「持続化給付金」は、コロナで売り上げが落ち込んだ事業者の支援・救済を目的とする制度だった。だが、事業実態がない者が、確定申告書や売上台帳を偽造するなどの手口で不正申請するケースが全国で多発。警察庁によると2月10日までに全国44都道府県で509人が摘発された。
飲食業者にも不正に手を染める者がいる。東京都は1月8日からの緊急事態宣言中、20時閉店の時短要請に応じた飲食店に1日一律6万円の協力金を支払う。緊急事態宣言が3月7日まで続けば、総支給額は最大354万円にのぼる。ライターの奥窪優木氏が指摘する。
「協力金が格段に増額されたことで、リスクを冒して営業する店は減りました。ただし、協力金を申請しつつ20時以降は現金払いだけにするなど足がつかないようにして“闇営業”する店は今もある」
こうした“闇営業”が発覚する可能性は「密告」を除き稀なようだ。東京都の担当者がいう。
「人員に限りがあり、違反している店をすべて調べるのは不可能です。都民からの情報があれば文書で問い合わせたり訪問することもありますが、パトロールなどはしていません」(産業労働局企画計理課)
不正の取り締まりはまさに「いたちごっこ」の様相を呈している。
「緊急事態宣言の再発出を早期に見越し、ほぼ営業実態のない飲食店を3店舗借り受けて給付金を申請した者もいる。『今回は1000万円近い利益が出せる』と笑っていました。
また、中小企業向けの融資『セーフティネット保証制度』は、たとえば年商2000万円の会社なら、同額程度まで無担保無保証で借りられる制度です。この低リスク融資で受けたお金をタネ銭に株投資し“億り人”になった経営者もいる」(奥窪氏)