コンビニATMの手数料も変わる。三菱UFJ銀行は4月1日から、ローソン銀行ATMの手数料を改定し、平日の時間内手数料が110円から220円、平日の時間外や土・日・祝日の手数料が220円から330円にアップする。三井住友銀行も4月5日から同程度、コンビニATMの手数料を上げる。
両行とも特定の日にはコンビニATM手数料が無料になるなどの「緩和策」はあるものの、普通預金の金利が0.001%なのに、自分のお金を引き出すのに最大330円が必要となるのだ。
利用者の側も、銀行との付き合い方を考え直さなくてはならない。森田氏は「銀行口座の集約」を推奨する。
「会社員として長いキャリアのある人ほど、様々な銀行や証券会社に口座を持つケースが多く、それぞれの手数料が積み重なるリスクがあります。そこで思い切って取引銀行を絞れば、定年後の資金管理も楽になります。口座が分散すると相続の際に面倒なので、不要な口座の解約・集約は、妻や子供に迷惑をかけないことにもつながります」
「優遇サービス」という利点も見逃せない。
「顧客取り込みのため、年金受給や口座振替を設定する人や、定期預金、投資信託の残高が多い人は、コンビニATMの手数料や振込手数料などを優遇する銀行が増えています。取引銀行を集約すれば、こうした優遇サービスを受けやすくなります」(森田氏)
どの銀行に集約するかは利便性を考慮したい。
「長期にわたって利用するので、使い勝手の良さは重要なポイントです。まずは自宅や職場など便利な場所にあるコンビニや銀行のATMに目星をつけ、それらを有利に使える銀行を選ぶのがベターです」(同前)
近年はネット銀行が隆盛で、手数料の安さ、預金金利の高さ、24時間利用可能などの利点があるが、利用条件によっては、入金に手数料がかかるなど不利になる面もあるので注意が必要だ。
「一方でゆうちょ銀行のATMは、曜日や時間帯に限らず預け入れや引き出し手数料が無料で、振込手数料もメガバンクより安い。全国に約3万2000台のATMを持つ強みもあり、口座の集約や新規開設をする際の有力な選択肢になります」(同前)
ただし、夫婦で口座を集約しようと考える際には注意点もある。
「どちらか一方の名義口座にすべての資金を集中させると、急に亡くなったり、認知症を発症したり、万一の際にお金が引き出せなくなるリスクがあります。妻名義の口座に資金の一部を分散しておけば、リスクを回避できます」(同前)
※週刊ポスト2021年4月2日号