投資情報会社・フィスコが、株式市場の3月15日~3月19日の動きを振り返りつつ、3月22日~3月26日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は、日米の金融政策決定会合を無難に通過したことから目先のあく抜け感が強まり、堅調な動きとなった。
米長期金利(10年物国債)が再び1.64%まで上昇した動きを受けて週初は改めてハイテク株やグロース(成長)株が売られたが、景気回復期待から景気敏感株などは堅調で日経平均も49円高と底堅さを見せた。16日は米長期金利の上昇一服とともに米連邦公開市場委員会(FOMC)を前とした売り方の買い戻しなどもあって日経平均は一時3万円に乗せる場面もあった。17日はFOMCの公表結果とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見を見極めたいとする思惑から薄商いのなか方向感に欠ける展開に。
18日は、少なくとも2023年いっぱいは政策金利がゼロ付近で維持されるとの見通しが示されたFOMCの結果を受けて安心感が高まり一時30485.00円まで上値を伸ばした。ただ、翌日に控える日銀金融政策決定会合に関する報道が伝わってからは利益確定売りに押され急速に上げ幅を縮小した。それでも終値で3万円を回復した。
19日は、FRBの緩和政策の継続によりかえってインフレ期待が高まり、米長期金利が1.75%まで上昇するなど金利高懸念が再燃したことで、ハイテク株などが再び売りに押された。また、日銀金融政策決定会合で上場投資信託(ETF)の「原則年6兆円増」の買い入れ枠が撤廃されたほか、買い入れ対象が東証株価指数(TOPIX)連動型のETFのみで、日経平均型は外れると決まったことが伝わると、後場からは、下げ幅を拡げる展開となった。
結局、週末の日経平均は424.70円安の29792.05円まで下げて終えた。ただ、TOPIXは3.70pt高の2012.21ptで終えており、1991年5月以来となる大台2000pt台乗せに成功している。
今週の日経平均はもみ合いが予想される。先週の注目だったFOMCでは、23年末までのゼロ金利据え置きのほか、量的緩和についても明確な目標達成が確認されない限りは現行の資産購入ペースを維持する方針が示された。これを受けて直後の日米の株式市場ではハイテク株やグロース(成長)株が買われる動きが優勢となった。
しかし、その後は一転、緩和的な金融政策の継続が景気回復を更に強めるとの予想から一層期待インフレ率が上昇し、その結果、かえって米長期金利が上昇するという動きに変わった。これを受けて、週末には再びハイテク株などが売られる展開となっていた。
本来、景気回復期待による良い金利上昇と株高は長期的には共存できることは歴史が証明している。ただ、いま警戒されているのはその上昇スピードだ。あまりに速いスピードでの金利上昇は市場の警戒感を高め、リスクプレミアムの上昇により短期的な株価調整の要因となりかねない。