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魚の缶詰の健康リスクを専門家が警鐘 選ぶ際に注目すべきは「脂質の量」

売り上げが増加している魚の缶詰にも添加物の懸念が(イメージ。Getty Images)

売り上げが増加している魚の缶詰にも添加物の懸念が(イメージ。Getty Images)

 テレビや雑誌を見ると、《家飲みが進むおつまみ缶詰特集》、《水煮缶で健康になる!》など、缶詰特集が頻繁に目に飛び込んでくる。食品をそのままの形で保存できるうえ、調理の必要なし。栄養もきちんと摂れるとあって、特にさばを中心に人気は高まるばかり。昨年はコロナ禍で保存の利く缶詰食品に注目が集まったこともあり、2020年の缶詰市場におけるさば缶の売り上げは前年度比1.3倍となった。

 しかし、食と健康の専門家たちはこの傾向に警鐘を鳴らす。真島消化器クリニック院長の真島康雄さんが言う。

「患者が命にかかわる疾患にかかった原因が、1日1缶食べていたさば缶にあったというケースがありました。さばが含む良質な脂であるDHAの効能などいい面ばかりが喧伝されますが、同じくらい危険も多くはらんでいることを知っておいてほしい」

 食品ジャーナリストの郡司和夫さんも、さばをはじめとした魚の缶詰に、添加物の懸念があると指摘する。

「魚の缶詰には食品の形を保ったり味わいを調整したりするために注入液を加える必要があります。そこで使われるのが、増粘剤と呼ばれる添加物です。特にこの10年ほどの間に増粘剤として多用されるようになった『加工でんぷん』には大きな問題がある。細かく11品目に分けられますが、そのうち『ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン』『リン酸架橋デンプン』の2品目は、欧州食品科学委員会で発がん性があるとして、幼児用食品への使用が禁止されています。

 ところが日本の原材料表示では、すべて『加工でんぷん』と一括表示されているので、見分けることができません」

 危険なのは液体だけではない。真島さんが指摘するのが、脂質の過剰摂取だ。

「血液サラサラ効果があるとされ、良質な脂だとうたわれるEPAやDHAですが、含有率は実は魚の脂全体の20%に過ぎず、あとの80%は牛や豚の肉が含む脂質と同じ成分です。つまり、良質な油分を摂取するためにたくさん魚の缶詰を食べたとしても、体内に入ってくる成分のほとんどは単なる脂肪分だということ。摂取すれば血管内に脂の塊であるプラークが作られやすくなり、血流が悪くなって心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化の症状を引き起こしやすくなる。

 実際に国立がん研究センターなどの大規模疫学調査によれば、脂の多い魚を週4回以上食べている人は、週に3回食べている人に比べて、突然死が非常に多いことがわかっています。当クリニックに来院した患者の中にも、さばの水煮缶を毎日1缶食べ続けた結果、動脈硬化が悪化した人がいました」

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