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【日本株週間見通し】新年度相場入りで買い気強まる展開となるのか

 また、良い意味でサプライズだったのがパウエルFRB議長の発言だ。米国時間で25日、「政策目標に向けて大きな進展がみられた場合には資産購入額を徐々に縮小するだろう」と量的緩和の縮小を示唆するような発言があった。むろん、「経済が完全に回復した時に、時間をかけて非常に漸進的かつ高い透明性をもって」という慎重な前置きを付けてのことだが。しかし、それでも先日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で2023年末までのゼロ金利政策の据え置きなど緩和策の維持が再表明され市場が安堵したばかりということを考えれば、かなり早いタイミングでのテーパリング(量的緩和縮小)の示唆だったと思える。

 そうした中でも、当日の米国市場では、前述の7年債入札の結果とはいえ長期金利は微増にとどまり低位安定。株式については、ワクチン配給目標の倍増を好感して上昇した。市場は、金利だけでなくFRBによる金融政策全体に対する耐性がついてきているようにも見える。

 こうした中、相場はいよいよ日本では新年度相場入りとなる。来期を見越した新規買いの動きなどが期待される。また、その前に、週前半の3月最終週の初日29日は配当・優待権利付き最終日で権利取りを狙った売買が活発化することも予想される。加えて、29日大引けと30日寄り付きにかけてはインデックスファンドの配当金投資に伴う先物買いが発生する見込みで、こちらも相場を下支えしよう。

 そのほか、3月第3週(15-19日)の投資主体別売買動向によると、海外投資家は現物を4000億円程買い越してきており、再び日本株買いに勢いが見られる。一方、信託銀行は2000億円超の売り越しを継続するなど機関投資家の期末のリバランス売りなどの様子がみえる。しかし、期末のリバランス売りは3月で終わることに加え、企業の政策保有株の売却なども例年3月末までには一巡してくることが多い。今まで主体だった売り方の存在が薄れる一方で、海外投資家の買い越しが続けば、相場の上昇に繋がる可能性があろう。

 物色対象としては引き続き景気敏感株やバリュー(割安)株が優位となりそうだ。金利耐性が付いてきたとはいえ、景気回復に伴う今後の再びの長期金利上昇は時間の問題だ。そうしたなかグロース株を積極的に選好するのは難しいと考えられる。ワクチン接種の加速、バイデン政権の公共投資策の追加報道、中国を始めとした相次ぐ各国景気指標の上振れ可能性なども踏まえると景気敏感系が優位となりそうか。

 そのほか、時短営業を強いられ依然厳しい環境ではあるが、アフターコロナを見据えて飲食やサービスといった未だコロナ前水準を回復できていない銘柄に短期割り切りで挑戦するのも一考か。

 今週の主な国内外予定は、30日に2月有効求人倍率、米3月消費者信頼感指数、31日に2月鉱工業生産、中国3月製造業PMI、米3月ADP全米雇用リポート、4月1日に3月日銀短観、中国3月財新製造業PMI、米3月ISM製造業景気指数、2日に米3月雇用統計などが予定されている

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