長く生きるほど、積み重ねてきたもの、抱え込むものは増えていく。それらを見直して身辺整理をすることが、残された人生を快適に過ごすには重要だ。それは、孫や子供との付き合いも同様、70代になったら子供や孫との付き合い方を見直したいと心理学者の諸富祥彦・明治大学教授は言う。
「孫が学齢期に入るこの時期、気を付けておきたいことがあります。例えば孫の小学校入学に際して、祖父母からのお祝いだと数十万円も渡してしまう人がいますが、これは双方にとって危険なことです。大金持ちならいいですが、そうでない場合は『年寄りの承認欲求』の表われです。孫に『おじいちゃん凄い』って言われたいんですね。
最初にこれをやってしまうと子世代が勘違いして『中学入学だから』『次は高校だから』ともっと金銭的援助を求めるようになる。そうならないために最初から『うちはランドセルを買ってあげるからそれだけにしてね』といったことを伝えることが重要です」
毎年のお年玉も同様で、あらかじめ「1人3000円ね」と言い添えて渡すことが大事だと諸富教授は言う。
「それで離れていくような孫なら、離れてOKだと思います」(同前)
余計なものを削ぎ落とすことで、人生の仕上げに向けて残すべき大事なものを見つけることがきっとできるはず
※週刊ポスト2021年4月9日号