コロナ禍で飲食店や観光業界への打撃が連日報じられ、休業補償やGo Toキャンペーンなど支援策が採られていることに対し、支援の対象にならない他業種からは不公平だという不満もある。あらゆる業種を平等に救済することは、制度設計や予算の制約で難しい。そんななか、表立って声はあげられないものの最も大きな打撃を受けている業界のひとつが性風俗産業だ。「濃厚接触」が不可避のサービスであることから感染リスクはどうしても高く、外出自粛や夜の街の時短などで客足は激減している。
産業それ自体への賛否はひとまずおくとして、それを生活の糧にしている女性が多数存在する現実から目を背けることはできない。アングラな業界であるため、正確な統計などはほとんど存在しないが、全国に性風俗店は約1万店、そこで働く女性は30万人ほどいるという推計もある。そのなかには、貧困に苦しむ、最も救済を必要とする人たちが多くいることも事実である。
『週刊ポスト』(4月5日発売号)では、全国の様々な職種の性風俗店で働く女性100人にアンケートし、コロナ禍の営業の実態と、彼女たちの生活を調査した。そこからは、コロナ貧困の深刻さと、女性たちの置かれた危険な環境が浮き彫りになった。
コロナ禍で働き始めた女性が2割
アンケートに答えた女性の21%が、コロナ問題が起こった後に性風俗で働き始めていた。感染リスクが高い仕事であることを承知でその職を選んだ理由の多くは経済的困窮だ。
「昼は工場勤務です。コロナで彼氏の収入が激減し、彼と相談してヘルスで働き始めた。風俗勤務はこれが初めてです」(関東在住・38歳)
「コロナでネイリストとしての収入が激減してソープで働き始めました。収入は以前より増えましたが、同棲している彼はこの仕事のことは知りません。コロナが収束したらネイリストに戻るつもりです」(関東在住・20歳)