懸念がくすぶっていた債券需給も当面は落ち着きそうで、いよいよ「(良い)金利上昇と株高の共存」が確かなものになってきたと言えそうだ。加えて、日銀による政策修正を過度にネガティブ視する動きも落ち着いたようで、日経平均は再度強い動きを見せてきている。このように、これまでの多くの懸念要素は大分解消されてきている。なお、先週に警戒要素となっていた米投資会社を巡る混乱については、市場全体に波乱を呼ぶほどのものではないだろう。
需給面と外部環境が揃って好転してきたことで、ここからは、22年3月期見通しが出揃う5月中旬までは上方向を見据えていきたいところ。そうした中、今週からは小売企業の中間・本決算が始まってくる。主なところでは5日にしまむら<8227>、アダストリア<2685>、6日にスギHD<7649>、7日にウエルシアHD<3141>、ディップ<2379>、ハイデイ日高<7611>、8日にファーストリテ<9983>、7&I-HD<3382>、9日にはDCMホールディングス<3050>、ベルク<9974>、ライフコーポレーション<8194>などだ。
ドラッグストアや食品スーパーは巣ごもり需要の反動減も見込まれる中での決算であり強気な見通しは出にくいと思われるが、関連銘柄には既に大幅に株価調整済みの銘柄が多いため、地合い的に目線が向きにくいとは思われるが、どのような評価が下されるかに注目したい。一方、コロナ禍で落ち込んだ外食チェーン店やアパレルは反対に回復が期待されるが、新型コロナ第4波も想定されるなか強気な数値が出てこない可能性にも留意したい。強い数値が出れば足元のアフターコロナ物色が強まりそうだ。
そして、9日には安川電機<6506>の決算発表もある。この先の製造業決算を占う先行指標的な役割としても非常に注目だ。見通しの強気具合とそれに対する市場の反応で今後の決算を控えた投資戦略にも影響してくるだろう。
バイデン米大統領による大規模投資計画が発表されたことで景気回復期待が更に強まっている。そのため、今後も景気敏感株が有望であることは確かだろう。しかし、新年度相場入りで期末のリバランス売りが一巡したほか、懸念だった米長期金利も落ち着いてきた。
これに伴い、先週末にかけてはこれまで相対的に不調だったハイテク・グロース株が買われる一方、期末まで好調だった純粋シクリカル(景気循環)・バリュー(割安)株が売られるという動きが出てきた。グロース株の調整一巡感に着目してこの先もグロース株に注目したい。ハイテクでは先んじて好調の半導体以外でFA関連株などを、グロースでは出遅れ感も考慮し、マザーズ指数など新興株も含めた情報通信セクターに見直し余地がありそうだ。
今週は、5日に米3月ISM非製造業指数、米2月製造業受注、IMF・世界銀行春季総会、6日に2月家計調査、7日に米FOMC議事録(3月開催分)、G20財務大臣・中央銀行総裁会議、8日に3月景気ウォッチャー調査などが控えている。