「マナカナさんからお電話です」「あの双子から?」
広告代理店に勤める30代の女性・Bさんは、毎年4月になり、取引先に電話をかけた時、「カミカミ」で不慣れな新入社員と思しき人が電話に出ると、自身の経験から「がんばれ!」と応援したくなるという。
「私も電話対応がめちゃくちゃ苦手で、ストレスを感じていました。当たり前ですが、電話って突然鳴るので、怖いし、全てがマニュアル通りにいくわけもないんですよね。予想外のことが起こるとテンパッてしまう。とはいえ、相手の話を一旦聞く、復唱するなど、電話応対から学ぶこともたくさんありました。新人さんには、最初の試練をぜひ乗り越えてほしいと思っています」(Bさん)
Bさんも新人時代、電話対応でミスを連発。中でも聞き間違いが多かったが、先輩からの言葉に救われた。
「『大阪支社のマナカナさんからお電話です』と伝えたことがあって、ある先輩が『え? あの双子から?』とツッコミ……。実は『山中さん』で、部署のみんなが大笑い。先輩からは『面白い聞き間違い期待してるから!』と言われて、救われました。だから私も、同じ職場に、あなたの味方はたくさんいるんだよ、ということは姿勢で見せていきたいと思っています」(Bさん)
建設業界で働く20代の男性会社員・Cさんも電話対応が苦手で、何度も先輩や上司に怒られたが、あることに気が付いてから劇的に対応しやすくなったという。
「『話さなくちゃ』という意識を捨て、聞き出すイメージです。相手の名前と、誰宛てなのかさえわかれば大丈夫。失礼にならない必要最低限の敬語ができれば十分です。聞き取れなければ、聞き返せばいい。マニュアル定型文に捉われず、自分の言葉で情報を集めればいいんです」(Cさん)
電話に慣れない世代にとって、電話対応は過酷な試練。彼らの成長は、職場にいる同僚のサポートがカギを握るのかもしれない。