コロナ禍でのステイホームで自炊をする機会が増えている。その結果、“炊事”に対する価値観も変化しているようだ。たとえば、自宅のベランダでキャンプ気分を味わうための小さなグリルやホームベーカリーも人気を博した。これまで「母親の義務」とされていた料理は、「家族で楽しむレジャー」へと変わりつつあるのだ。
また、共働き家庭が増えて時短が求められていることからも、料理のハードルを下げる家電は、日々進化している。その象徴が電子レンジだ。知的家事プロデューサーの本間朝子さんはこう話す。
「従来は、“温める”“解凍する”など、あくまでも調理の過程をラクにするためのものでしたが、最新の電子レンジは“調理を全部やってくれる機能”がついています」
たとえばシャープの「ヘルシオ」のオーブンレンジは、切った材料に下味をつけて入れて、〈まかせて調理 網焼き・揚げる〉などのボタンを押せば、あっという間に完成する。家事シェア研究家でNPO法人tadaima!代表の三木智有さんがいう。
「ボタンを押すだけで、料理が苦手な人でもおいしい料理ができます。火加減の失敗など、料理が苦手な人なやりがちなミスも最小限に抑えられます」
同じくシャープのヘルシオの『ホットクック』やT-falの『クックフォーミー』など、自動調理鍋も注目されている。
「材料を鍋に入れ、料理名を選んでスタートボタンを押すだけ。朝セットして夜に食べるときも、予約機能を使えば、食中毒にならない温度帯で調理や保存ができます」(本間さん)
自動調理鍋を使えば、ぶり大根や肉じゃがなど、典型的な「母の味」も簡単につくれるようになる。
食材をカットして下味をつけて加熱し、複雑な味つけを行うといった、自動調理鍋に入れる前のプロセスまで、ショートカットできるようになってきている。
「市販のカット野菜の種類が豊富になり、なかには“このひと袋で半日分の栄養が摂れる”とうたう、至れり尽くせりの商品も増えています。