多くの家電にもその技術が応用され、どんどん身近になっているAI。アレクサなどのスマート家電はまさにその代表例で、今後AI家電がさらなる発展を遂げるのは明らかだ。ほかの家電と連携して、ある程度まで家に近づくと自動でエアコンや照明のスイッチが入る機能や、部屋の空気の汚れに反応して勝手に空気清浄機が作動する機能などは、すでに実用化されている。
知的家事プロデューサーの本間朝子さんが近未来の冷蔵庫を予言する。
「韓国のサムスンの新型冷蔵庫は、庫内にカメラが配置され、どの食材がどれだけストックされているか把握してくれる。その残量は扉に設置されたタッチスクリーンに表示され、スクリーンに向かってしゃべることで、足りない食材を注文できます。
家族の好みと食材のストックから1週間分のメニューも提案してくれるので、近い将来は、冷蔵庫に搭載されたAIが、家族の食事記録をもとにした栄養アドバイスもしてくれるようになるでしょう」(本間さん・以下同)
肉ばかり食べていたら、“ソロソロ魚ハイカガデスカ?”などと、家電が提案してくれるのだ。
すでに、アマゾンなどでは消費者の購入履歴の傾向を読み、「あなたへのおすすめ」として、新たな商品を提案している。今後は、あなたの代わりにわが家の家電がメニューを考案するようになるのだ。
「この技術が進化すれば、料理以外もラクになるはず。たとえばクローゼットにAIが搭載されれば、普段着の傾向を把握し、流行や気温から、その日はどんなコーディネートがいいか提案するようになるでしょう。実際、クローゼットのAIとアパレル業者が提携し、洋服の販売促進に結びつける計画がありました」
これからの家事のキーワードは「レジャー化」
ここで重要なポイントは、家電の進化が「便利」なだけでなく、「楽しい」体験となることだ。家事シェア研究家でNPO法人tadaima!代表の三木智有さんがいう。
「たとえば、パナソニックのスチームオーブンレンジ『ビストロ』は、下ごしらえした食材を耐熱ボウルに入れて“チン”するだけで、中華からフレンチ、イタリアンまでさまざまな料理ができる。電気調理鍋の『スロークッカー』は、時間はかかるけれど、ボタンひとつで低温調理ができ、信じられないほどおいしい料理がつくれます。
料理に苦手意識のある男性でも、こんなハイテク家電があると家事のハードルが下がり、さらに楽しみながら、積極的に家事に参加できるようになります」