就活は全滅…、そして開業を決意
合格はゴールではない。ここからようやく、念願の社労士として働けるというわけだ。しかし、再就職は厳しかった。
「最初は企業内社労士を目指したのですが、受けた企業5社すべてから “経理だったら雇うんだけどね”と言われました。経理の実務経験は長いけれど、労務の経験はゼロでしたから」
そんなとき、ある社労士から思わぬ提案を受けた。
「開業したらどうだろう。旦那さんの給料で生活ができているいまのうちに開業して下積みをする。仕事が増えてきた頃、旦那さんは定年を迎えるだろう。そうしたら、バトンタッチして、経済的に支え合えるよ」
その言葉に納得し、すぐに開業に向けて動き出した。勉強仲間からの紹介で、会員制の異業種交流会に入会し、開業や集客のノウハウを学びながら、自宅で個人事務所を始めた。
「交流会には1年半通って情報交換をし、人脈を作りました。その甲斐あって、食べられるようになるまで3年かかるといわれるところ、1年で売り上げが300万円ほどに達し、生活ができるようになりました」
そしていま、開業6年目にして売り上げは1000万円台に。駅前のビルに事務所を移転して従業員を増やし、規模を拡大している。企業内社労士ならそろそろ定年を迎える年齢だが、50代の10年で、60代以降も働ける下地をつくったといえる。
「苦労して資格を取ってよかったと思うのは、お客さまから、喜んでもらえたとき。役に立てている実感を得られるのが、モチベーションになっています」